建設業では、技能労働者の高齢化による人手不足の課題を解決し、生産性向上を目指すICT活用の一環として、ドローン活用が推進されています。ドローンの活用は、測量や現場確認、点検・調査など多岐にわたり、現場の安全性向上や業務効率化、コスト削減などが期待されます。本記事では、建設業におけるドローン活用の目的やメリット、注意点についてご紹介します。
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ドローンとは、自動操縦や遠隔操作が可能な無人航空機のことで、重量100グラム以上のものを指します。3枚以上のプロペラを装備し、垂直方向に離着陸可能な「回転翼型(マルチコプター型)」や2枚の翼と1つのプロペラを持ち、省エネルギーで長時間の飛行が可能な「飛行機型」などがあります。ドローンにはGPSや加速度センサー、ジャイロセンサー、気圧センサーなど、多様なセンサーが搭載され、バランスを制御しながら、安定した自律飛行を実現します。
ドローンは産業用として、農薬散布や地形調査、苗木運搬や森林調査、災害時の被害状況の確認など広く活用されていますが、建設業も例外ではありません。
技能労働者の高齢化により、人手不足が深刻な建設業の課題解決のため、国土交通省はICT活用で生産性向上を目指すプロジェクト「i-Construction」を、2016年から本格的に推進しています。このなかで、「ICT の全面的な活用(ICT 土工)」において、2017年3月31日に「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」の改正版が公表され、建設業におけるドローン技術の活用が急速に普及しました。
建設業では、人手不足や業務効率化の課題を解決するため、ICT活用の一環として、ドローンの活用が積極的に推進されています。建設業におけるドローン活用の目的について紹介します。
ドローンを導入することで、これまでは人の手や航空機に頼っていた測量を短時間で行えます。そのため技能労働者が現場に赴かなくても、ドローンで上空から撮影やレーザー照射で測量し、高精度のデータ収集が可能です。人の立ち入りが困難な山間部や森林、危険区域でも、安全に測量ができる点もメリットです。
ドローンを用いることで、広範囲の建設現場を巡回し、工事の進捗状況や施工ミス、安全面に問題がないか確認できます。工事の遅れや不具合があれば対策を講じやすく、リアルタイムで画像を複数の人と共有することで、業務改善にもつながります。
住宅の屋根や高層ビル、ダムや橋梁、トンネルなどのインフラ設備の定期点検や調査にも、ドローンを活用できます。高所や人が立ち寄ることが困難な場所でも、ドローンであれば、任意の位置や角度で容易に撮影が可能です。安全性を担保できるうえ、技能労働者の負担を大幅に軽減します。
ドローンを用いて、建設現場へ資機材を運搬することが可能です。特に、斜面や山間部、トラックが通れる道に制限がある現場への運搬に役立ちます。近年ではドローンの開発が進み、積載量30キログラムを超える産業用ドローンの実用化が進められています。
建設業におけるドローン活用のメリットは、技能労働者が危険な作業場に立ち入らなくても、安全に工事の進捗状況を把握でき、測量や点検の実施が可能になることです。また、業務効率化によるコスト削減も見込めます。ここでは、ドローン活用のメリットについて具体的に解説します。
ドローンを導入することで、現場の作業員の安全性向上に寄与します。例えば、従来、作業員が行っていた高所や危険を伴う場所での測量や点検・調査の作業をドローンが担うことで、作業員の事故防止につながります。
ドローンを活用することで作業の効率化が見込めます。例えばリアルタイムで現場の状況を確認することで、作業員の配置や機材・重機の設置などの不備を早期発見しやすく、作業の効率化のための対策が可能になります。また、従来の地上作業で必要だった足場の設置やクレーン・ロープの手配、重機の移動なども不要になることで業務の効率化にもつながります。
ドローンの活用でコスト削減が期待できます。例えば、測量や点検・調査にドローンを活用することで今まで必要だった人件費や足場設置費、高所作業車の使用料などのコスト削減が見込めます。また、リアルタイムに工事現場の状況を把握できれば、必要な資材や設備の最適化がしやすくなり、余計な資材コストの削減にもつながります。
建設業におけるドローンの活用には、メリットだけでなく、以下のような注意点もあります。これらの注意点を考慮して、ドローンの活用を検討することが大切です。
雨天や強風などの天候によっては、ドローンの運用が難しい場合があります。ドローンにはモーターやバッテリー、センサー、GPS、カメラなどの精密機器が搭載されているため、雨水が侵入すると動作不良や故障の原因につながります。また、強風時は操縦のコントロールが困難になり、地上へ落下する危険性があります。
ドローンは機種によっては大きな音がするため、騒音問題につながるリスクがあります。特に、人口密集エリアや夜間にドローンの飛行をさせる場合には、周囲への配慮が必要です。また、操縦ミスや機体の整備不良、天候の悪化などによる落下のリスクも存在します。ドローンの落下は物件の損壊だけでなく、人命に関わる重大な事故につながる場合もあります。
ドローンの運用については、航空法をはじめとする法律やガイドライン、地方公共団体の条例などによって、飛行場所や飛行方法、機体の登録などに関する細かなルールが規制されているため、注意が必要です。例えば、150m以上の上空や空港周辺の空域、人口集中地区での上空飛行は、原則禁止と定められており、当該空域で飛行する場合は国土交通大臣の許可が必要です。ドローン関連の法律は頻繁に改正、追加されているため、ドローンを活用する場合には、定期的に最新情報を確認することが重要です。
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