建設キャリアアップシステムとは、建設作業に従事する技能者の資格やスキル、就業実績などをデータベース化することで技能者の適正な評価や工事の品質確保につなげ、次世代育成に役立てるためのシステムです。また、入退場にICカードを使用して効率化を図ることで、事業者と技能者の双方にメリットをもたらします。ここでは建設キャリアアップシステムの概要とその目的、利用するための手順などを解説します。
この記事はこんな読者におすすめ
- 建設キャリアアップシステムとはどのようなものかを知りたい
- 建設キャリアアップシステムを利用したいが利用方法がわからない
- 建設キャリアアップシステムにはどんなメリット・デメリットがあるのかを知りたい
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わかりやすいCCUSのすべて
急速に導入が拡大しているCCUS(建設キャリアアップシステム)のすべてを、わかりやすく解説します。
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目次
1. 建設キャリアアップシステム(CCUS)とは
国土交通省が推進する建設キャリアアップシステムは、建設業界の次世代育成に役立つシステムで、技能者と事業者の双方にメリットがあります。
技能者にとっては、能力や経験、保有する資格などを蓄積し、適正な評価と処遇につなげることができます。
一方、事業者にとっては、現場の入退場管理や施工業務を効率化するとともに、技能者の持つスキルや経験を明確にすることで建設工事の品質向上につなげることができます。
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2. 建設キャリアアップシステム(CCUS)の目的
建設キャリアアップシステム最大の目的は、高齢化による技能者の減少に歯止めをかけ、若い人材の確保と育成につなげることにあります。そのためには、これまで正しく評価されてこなかった個々の技能者が持つ資格や経験、現場管理やリーダーシップなどのスキル・能力を適正に評価し、処遇に反映させることが必要です。事業者にとっては、施工に従事する技能者の能力を見える化することで、専門工事業者としての競争力を高め、建設業界全体の健全化を図ることにつながります。
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3. 建設キャリアアップシステム(CCUS)の申請方法
建設キャリアアップシステムを利用するには、事業者、技能者ともに登録申請をおこなう必要があります。申請方法にはインターネットによる申請と、認定登録機関に申請書類を持ち込んでおこなう二つの方法があります。
事業者としての登録申請方法
インターネットでの登録申請方法
「建設キャリアアップシステムホームページ」の申請ページから「事業者新規利用申込み」の手順に従って必要事項を入力し、利用を申し込みます。
システム側の確認・審査が完了すると事業者登録料の請求書が送られてきますので、所定の方法で払い込みます。
登録料の払い込み後、事業者IDと管理者IDが登録責任者宛てに送付されますので、本通知を受領すれば申請作業は完了です。
認定登録機関窓口での登録申請方法
各都道府県内にある指定を受けた組合や協会などの業界団体、行政書士法人などから申請書を取り寄せるか、「建設キャリアアップシステムホームページ」の申請ページから申請書をダウンロードして記入し、認定登録機関に持ち込んで申請をおこないます。ほとんどの認定登録機関で申請受付を予約制としているため、申請に際しては電話で事前にご確認ください。
事業者登録料・更新料は5年ごとの更新制で、登録料が無料となる一人親方以外は6,000円~2,400,000円まで事業者の資本金に応じて登録料が定められています。
資本金 | 登録料(税込み) |
---|---|
一人親方 | 無料 |
個人事業主・500万円未満 | 6,000円 |
500万円以上1,000万円未満 | 12,000円 |
1,000万円以上2,000万円未満 | 24,000円 |
2,000万円以上5,000万円未満 | 48,000円 |
5,000万円以上1億円未満 | 60,000円 |
1億円以上3億円未満 | 120,000円 |
3億円以上10億円未満 | 240,000円 |
10億円以上50億円未満 | 480,000円 |
50億円以上100億円未満 | 600,000円 |
100億円以上500億円未満 | 1,200,000円 |
500億円以上 | 2,400,000円 |
また、事業者が自社の事業者情報を管理するための管理者IDには別途利用料が必要です。
- 管理者ID利用料は1IDあたり年額11,400円(税込み)です。
- 一人親方の管理者ID利用料は年額2,400円(税込み)です。
技能者としての登録申請方法
インターネット申請、認定登録機関申請ともに手順は事業者登録とほぼ同じですが(技能者登録申請ページ)、技能者登録申請の場合は本人確認書類の提出が必要となります。申請に使用する証明書(本人確認書類)の種類によって、下記の申請方法になります。
証明書の種類 | 申請方法 |
---|---|
顔写真付き証明書 ※免許証やマイナンバーカードなど |
インターネット、認定登録機関 |
顔写真のない証明書 ※住民票+健康保険被保険者証 |
認定登録機関 |
証明書なし | 認定登録機関(事業者の代表と同行が必要) |
インターネット申請での登録料は、登録する種類によって下記の金額になります。登録が完了すると技能者IDが通知され、1~3ヶ月で建設キャリアアップカード(CCUSカード)が届きます。
申請方法 | 登録料 |
---|---|
インターネット申請(簡略型) ※技能者本人の基本情報のみ登録 |
2,500円 |
インターネット申請(詳細型) ※技能者本人の基本情報+ 技能者のレベル判定に必要な保有資格情報等を登録 |
4,900円 |
認定登録機関申請 ※技能者本人の基本情報+ 技能者のレベル判定に必要な保有資格情報等を登録 |
4,900円 |
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4. 建設キャリアアップシステム(CCUS)の利用手順
事業者と技能者の建設キャリアアップシステムへの登録が済んだら、いよいよ現場での運用開始です。建設キャリアアップシステムを利用する手順の概略を以下に記します。
現場の登録
まず、元請事業者が、現場名、連絡先、現場管理者などの「現場情報」、工事名称、受発注内容、工期などの「契約情報」、住宅や土木など工事区分、工事内容などの「工事情報」をシステムに登録します。技能者のICカードを読み込むためのカードリーダーの設置やインターネット環境の構築をおこない、パソコン、タブレットに就業履歴を蓄積するアプリ(「建レコ」「Buildee入退場」など)をインストールします。
施工体制の登録
元請事業者による現場の準備が完了したら、下請事業者は施工体制の登録をおこないます。上位の下請事業者が建設キャリアアップシステムに未登録の場合は、登録技能者を雇用する下位の下請事業者が施工体制を登録することができます。施工体制を登録する下請事業者は自社に所属する技能者を作業員名簿に登録します。登録時に技能者の職種、立場(職長や班長など)、保有資格などを登録して能力評価・レベルアップにつなげます。
技能者による就業履歴の蓄積
技能者は現場に入場する際にカードリーダーにCCUSカードをタッチして読み込ませるか、顔認証やスマートフォンのアプリなどで入場登録することで就業履歴を蓄積できます。
建設キャリアアップシステムでは、入場を管理するだけで技能者がいつ、どの現場で、どのような立場で働いたのかが自動的に記録・蓄積されます。
※顔認証での入場には入退管理アプリと連携できる顔認証ができる機器のレンタルが必要になります。
BuildeeではBANKENサービスとして入退場管理アプリと連携できる入退場管理機器の貸し出しを行っています。
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5. 建設キャリアアップシステム(CCUS)のメリット
建設キャリアアップシステムのメリットは、元請事業者、下請事業者、技能者それぞれにありますが、建設業界全体では、若者世代に対する建設業界のイメージアップや、施主に対して価格交渉や請求の根拠が示せるようになることなどがあります。
元請事業者のメリット
取引実績のない下請事業者でも登録技能者の人数、レベルや資格の有無などを事前に確認できるので、安心して施工を任せることができます。また、社会保険の加入状況や一人親方の労災加入状況なども確認可能です。作業の進捗確認や施工台帳・作業員名簿の作成などがコンピュータ上でおこなえるため、現場管理業務の効率化・簡素化、ペーパーレス化ができます。また、外国人労働者の資格等も容易に確認できるようになります。
下請事業者のメリット
元請事業者などの取引先に対して、自社の登録技能者数や保有資格、社会保険の加入状況、システムが評価する企業としての客観的な施工能力など、自社の実力を見える化できます。出面管理のIT化や賃金、支払いの根拠の明確化につながります。
技能者のメリット
蓄積された個々の情報がビッグデータとなり、賃金水準の相場が形成され、不当なダンピングの防止につながります。現場や所属する事業者が変わっても自分の能力が客観的に証明されるので、適切な処遇を受けられます。また、能力評価によるレベル判定で収入の目安が明確になります。CCUSカードをカードリーダーにタッチすることで建退共の掛け金320円が自動的に積み立てされます。
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6. 建設キャリアアップシステム(CCUS)のデメリット
いいことばかりのように思える建設キャリアアップシステムですが、デメリットはないのでしょうか。事業者のデメリットとしては運用面での工数があげられますが、一方で工事の進捗管理や台帳・名簿作成の簡素化や、ペーパーレス化といったメリットにつながるため、デメリットとはいえないかもしれません。
技能者にとっては登録申請の煩雑さや登録料・利用料がかかる点がデメリットとなりますが、所属する事業者が申請代行や費用負担をすれば、これらはデメリットとなりません。もしも技能者にとってデメリットがあるとすれば、システムに反映されるスキルが職長や班長などマネジメント能力に重きをおいている点ではないでしょうか。
建設キャリアアップシステムでは経験=就業日数、知識・技能=保有資格、マネジメント能力=登録基幹技能者の3点が評価対象であり、コミュニケーション能力やモチベーションの高さ、出来栄え(腕の良さ)はシステムに反映することができません。現時点ではこの点が唯一技能者にとってのデメリットといえるかもしれません。
しかし、建設キャリアアップシステムは建設業界を横断的にデータベース化しようとする取り組みのため、今後は登録していない事業者・技能者の働ける現場が少なくなってくることが予想されます。また、「就業履歴の蓄積」がキャリアアップにつながることを考えれば、技能者には1日も早い登録が望まれます。現状では建設キャリアアップシステムに「登録しないこと」が最大のリスクといえるでしょう。
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7. 建設キャリアアップシステム(CCUS)のよくある質問
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは?
建設キャリアアップシステムとは、技能者個人の資格や就業実績を登録・蓄積することで公正な評価と処遇につなげるとともに、現場作業の効率化と工事の品質向上を目的とするシステムです。
建設キャリアアップシステム(CCUS)を利用する方法は?
事業者と技能者の双方がシステムに企業情報や個人情報、工事情報を登録し、技能者用に発行されたICカードをカードリーダーにタッチすることで就業実績が蓄積されます。
建設キャリアアップシステム(CCUS)のメリットは?
事業者は、技能者の経験値や資格などが見える化されることで工事の品質向上や現場管理の効率化が図れます。技能者にとっては、客観的な能力評価による適正な処遇につながり、現場や勤務先が変わっても安心して働くことができます。
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8. 建設キャリアアップシステム(CCUS)に欠かせないBuildee入退場管理
建設キャリアアップシステムでは技能者の入場をCCUSカードで管理することにより、就業履歴を蓄積します。ただ、建設現場では出面管理として別途入退場を記録する必要があります。
そこで株式会社リバスタの「Buildee入退場管理」を導入すれば、建設キャリアアップシステム(CCUS)と連携して、自動的に就業記録を蓄積するだけでなく、現場ごとに作業員の入退場時刻も記録することができます。
さらに「Buildee入退場管理」専用の入退場管理機器BANKENシリーズ「BANKEN FACE」または入退場管理アプリ「顔レコ」を利用すればヘルメットやマスクをしたままで、顔認証によるスムーズな入退場管理ができます。
建設キャリアアップシステムと連携したワンストップソリューションを提供するBuildee入退場管理。詳細は以下のURLからご確認ください。
Buldee入退場管理ウェブサイト
https://service.buildee.jp/spec/entrance/
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