建設業の許可を得るためには、さまざまな要件をクリアして複雑な手続きを進めていくことが必要になります。いくつかの書面を集めて手続きをしなければならないのですが、その中の1つに「実務経験証明書」という書類があります。ここでは、実務経験証明書について、必要となるタイミングや書き方などについて詳しく解説していきます。
この記事はこんな読者におすすめ
- 実務経験証明書とは何かを知りたい
- 実務経験証明書がいつ必要になるのかを知りたい
- 実務経験証明書の作成方法について詳しく知りたい
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目次
1. 実務経験証明書
実務経験証明書はその名のとおり、これまでの実務経験がある期間や所属先を証明するための書類です。児童指導員や介護福祉士をはじめ、さまざまな業種で求められることがありますが、こちらでは建設業における実務経験証明書について詳しくみていきましょう。
実務経験証明書とは
建設業における実務経験証明書は、建設業許可を申請する建設事業者が「専任技術者」の条件である実務経験を証明する書類です。
専任技術者とは、建設業の契約を適切な内容で締結し、その工事を契約通りに遂行するための役割を担う技術者のことをいいます。建設業許可の専任技術者になるためには以下3点のいずれかを満たす必要があります。
- 高等学校もしくは中等教育学校の所定の学科を卒業後5年以上、大学もしくは高等専門学校の所定の学科を卒業後、3年以上の実務経験を有する方
- 10年以上の実務経験を有する方
- 一般建設業の専任技術者と認められる技術資格を有する方
これらの条件のうち、①②の条件で専任技術者の実務経験を証明する際に必要になるのが実務経験証明書なのです。
実務経験証明書が必要なタイミング
実務経験証明書は、新規で建設業許可申請をする時、またはすでに許可を得ていて専任技術者が変更になる時に必要となります。新たに専任技術者になる人が、1.1で前述した③(一般建設業の専任技術者と認められる技術資格を有する方)に該当する場合には、実務経験証明書は必要ありません。
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2. 実務経験証明書の書き方と記入例
専任技術者の実務経験証明は、原則10年以上の実務経験が必要です。(指定学科を修了している場合、3年または5年に短縮されます)
では、実務経験証明書の実際の書き方について見ていきましょう。
実務経験証明書は国土交通省のサイトや各都道府県のホームページなどからダウンロード可能です。
実務経験を証明する工事の種類
この書類で証明する工事の種類を記載します。なお書類1枚に対して、記入する工事の種類はひとつになります。(記入例①)
証明した日付
証明を受けた日付を記入します。(記入例②)
証明者
実務経験を積んで働いていた事業者の本店の住所、名称、代表者の氏名を記入します。原則として証明者は使用者(法人の場合は代表者、個人の場合は事業主)でなければなりません。(記入例③)
また、会社代表者が専任技術者も兼任する場合は「自己証明」という形で実務経験証明書を作成します。
被証明者との関係
証明者側から見た、専任技術者になる方との関係を記入します。主に「役員」「社員」「元社員」などが入ります。(記入例④)
技術者の氏名・生年月日
専任技術者に選任する技術者の氏名と生年月日を記入します。別途で必要となる「専任技術者証明書(様式第八号)」の記載と一致していなければなりません。(記入例⑤)
使用者の商号又は名称
使用者(実務経験を積んだ事業者、証明者)の商号または名称を記入します。名称が変わってしまっている場合は、実務経験を積んでいた当時の名称を記入しましょう。個人事業の場合には、屋号を記載します。(記入例⑥)
使用された期間
専任技術者が実際に雇用されていた期間を記入します。あくまで雇用されていた期間なので、実務期間と相違があっても問題ありません。(記入例⑦)
職名
実務を積んでいた当時の役職を記入します。会社代表者が専任技術者も兼任する自己証明の場合は、代表取締役と記入します。(記入例⑧)
実務経験の内容
使用された期間において携わった実務内容を記入します。工事名については専任技術者になるための実務経験を証明するために、具体的な建設業の種類がわかるように記載しましょう。どのような工事を経験したのか明確でない場合は、実務経験として認められない場合があるので要注意です。(記入例⑨)
実務経験年数
記入した実務経験ごとに、工事現場で携わった期間を記入します。実務経験年数については、12ヶ月以上の空白がない限り、継続した実務経験としてみなされます。
前述した通り、専任技術者の実務期間は10年以上あることが必要になります。(記入例⑩)
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