導入事例

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鹿島建設株式会社様

Buildeeで現場業務を合理化するペーパーレスを実現
蓄積されたデータの活用でさらなる業務DX推進へ

鹿島建設では、2016年頃からBuildee調整会議の利用を始め、2019年頃からは労務安全、入退場管理も合わせた3つのサービスを全社的に使っています。現場におけるペーパーレス化の標準ツールとして業務の合理化を図るとともに、Buildeeに蓄積された現場のデータを社内的な調査に活用するなどして、本社や支店の業務も効率化しています。

現場の生産性向上実現に向けた課題

2024年問題を念頭にペーパーレス化で
現場の業務負担軽減を図る

「スーパーゼネコン」の一社として知られる、鹿島建設。同社では2016年頃からBuildee調整会議の利用を開始、2019年頃からは労務安全、入退場管理も合わせた3つのサービスを、建築工事の全社的な標準ツールとして利用しています。その際の経緯については2019年時点で事例記事として紹介しましたが※1、今回は2024年時点における最新の動向をお伝えします。

※1 鹿島の生産活動において、「Buildee」はより重要なシステムになっていく

2023年春には、同社におけるBuildeeの主要3サービス(調整会議、労務安全、顔認証による入退場管理)が、建築工事のほぼ全現場で利用され定着していました。その時期は、「建設業の2024年問題」に関連した「現場業務の合理化」が大きな課題であったと同社建築管理本部 建築工務部 工事グループ長の宇野功一氏は語ります。

「2024年問題が迫ってくる中で、現場の業務を合理化し、現場負担を軽減するためのペーパーレス化を重視するようになっていました。工事グループは本来、工事の安全や品質、工程に関する内容を扱う部署ですが、Buildeeの活用は現場業務の合理化に直結するため、私もリバスタとの意見交換などに深く関わるようになりました」

導入の経緯

現場業務の合理化とデータ活用
業界標準に期待してBuildeeに一本化

鹿島建設がBuildee調整会議、労務安全、入退場管理のサービスを全社的に建築工事の標準とした背景にも、現場業務の合理化が念頭にありました。Buildee調整会議の利用が始まった2016年頃からの経緯を知る、建築管理本部 建築工務部 担当部長の荒木真也氏は、次のように語っています。

「Buildee調整会議を使い始めたのは、それまで自社開発していた作業間連絡調整システムよりメリットが多くあると考えてのことでした。当時のイーリバースドットコム(現リバスタ)は、『Buildeeを建設業界で働く全ての人に使ってもらえるサービスにする』として、とても熱意に溢れていました。2018年頃には、CCUSへの対応や労務安全書類管理の効率化の課題にも積極的に対応してくれたのです。Buildeeが持つデータ活用の方針も、自社サービスに閉じたものでなく、外部システムとの連携を念頭に置いたもので、このことは、当社が期待する運用の形であり、さまざまなデータ活用を具現化してくれました」

導入効果

現場業務の効率化や現場の見える化
そしてデータ活用にも

現在では、建築現場のほぼ全てで、Buildeeがもつ調整会議・労務安全・入退場管理の3つのサービスと、BANKEN FACEなどの各種サービスが利用されており、これらのサービス間のデータ連携や、CCUSなどとのデータ連携は、現場の業務効率化に役立っていると荒木氏は言います。

「現場の中には、作業間連絡調整について、『指示書などを印刷して所長がサインをする』といった従来からの運用を行う現場も一部ありますが、多くはデジタル化によるペーパーレス運用がされています。このデジタル化により、データがクラウド上にあれば、各種情報を現場以外でもチェックなどが可能になり、現場の業務負担を軽減する取り組みが可能になります。顔認証からCCUS連携に至るまで、Buildeeに一元化したことによる効果を感じています。そして、本社や支店などの現場にいない人たちも、Buildeeで現場の情報を確認することができ、現場情報の『見える化』が進みました」

Buildeeを通じた現場情報の見える化は、その利用率が高いからこそ意味のあるものになります。鹿島建設の現場に出入りする技能者の顔認証利用率は90%以上あり現場にうまく浸透しています。これにより、CCUSの就業履歴登録から、技能者の特定やレベル確認など「見える化」の効果が高まっていると言えます。

そのことについて、宇野氏は次のように説明します。

「現場での運用が楽になるようにしてあげないと、利用率が上がらないと考えています。会社として明確な方針を打ち出し、本社や支店から現場のBuildee活用を支援する社内施策などを実施したことや、Buildee自体の使いやすさもあって、ここまで利用が広がったと言えると思います。利用率が上がれば、データの正確性も上がり、より一層、データ活用の幅や機会が増えます。顔認証率からも分かるように、かなり正確性の高いデータがBuildeeに蓄積されていますので、社外に提出するデータや社内調査などで、Buildeeのデータを活用しており、現場へのヒアリングなどが不要になっています」

以前であれば、各現場にヒアリングしたり情報提供を依頼することで、多くの関係者に負担をお願いしていた上に、受け取った側でもさらに集計などを行う必要があり、結果が出るまでに数カ月を要する調査もあったそうです。それが今では、現場に負担をかけることが少なくなり、数日もあれば結果を得られるようになっているとのことです。

建築管理本部 建築工務部 生産推進サポートグループ長の川島慎吾氏は、現時点でのBuildeeの導入効果を、以下のように評価しています。

「かつての自社開発システムなどでは、現場からのデータが集まりきらず、ビッグデータとしての利用は厳しいものでした。それが今では、全現場で使われているBuildeeのデータがあるので、さまざまな形に活用できます。ペーパーレス化により現場の業務負担を軽減したことに加え、このデータ活用の基盤が整ってきたことが、Buildee導入効果の最初の一歩と言えるでしょう。」

今後の展望

デジタル技術との組み合わせなど、さらなる活用を検討

川島氏がグループ長を務める生産推進サポートグループは、ITツールやロボットなどの運用を確立させ、現場に実装していく役割を担う部署です。そうした業務の一環として、Buildeeと他のツールとの連携を念頭に、以下のような活用案を示してくれました。

「今回の試行は東京本店管轄の現場ですが、次は別支店管轄の現場でも試行するといった案があります。会社側としては、現場で使うサービスをリバスタに一元化することが大きなメリットだとは考えていますが、Buildee労務安全については、これまで全社的に他社サービスを使ってきた経緯があるので、ほかの現場でも移行にどれだけ負担が生じるのか、といった点も検証が必要です。もちろん費用対効果も、重要な検証テーマとなります」(佐藤氏)

 「我々の部署では、デジタルツイン(現場や現実の品物をデジタル上に再現し、さまざまに活用する技術や手法)や、AI活用などの検討も進めています。その1つに、現場に監視ロボットを巡回させ、その映像から人や機材などをAIで認識する技術があります。このAI認識したデータをBuildee上のデータと突合することで、資機材の有効利用や歩掛り算定などに役立てることができ、工程作成、出来高管理、協力会社評価といったことも、ビックデータを活用した業務への変革も可能になるでしょう」

続けて荒木氏は、建設業界が置かれている現状を踏まえ、次のようにリバスタへの期待感を語っています。

「業界では今、担い手確保やサプライチェーンの維持・強化などが大きな課題となっています。当社の2024~2026中期経営計画の中でもこの課題に触れていますが、担い手確保という観点では、これからの世代を念頭に置いて考えなければなりません。例えば、今の学生にとって、紙の書類を大量に扱うような職場を自分の職場にしたいと選ぶでしょうか。デジタルネイティブ世代の学生にとって、当然のようにデジタル技術を駆使して、スマートに高度管理をする職場しか選ばないと思います。若手人材の確保は、他業種・他業界との競争ですから、建設業界は『IT業界に負けないIT化、金融業に負けない給与』を目指す必要があります。現場の魅力創出という面では、Buildeeに加えて、『ビルダーズポイントサービス』※2にも注目しています。これは、安全講習会の参加や入場記録などに対して、電子マネーに交換可能なポイントを付与できるサービスとして、若い世代を中心とした技能者の意欲向上に大いにつながるのではないかと考えています。そのような点を含めてリバスタには、今後もさらなる発展を期待しています」

※2 元請会社の裁量で独自のポイントプログラムを簡便に構築できる建設技能者向けのサービス。例えば、安全講習会・清掃会への参加や、改善提案、入場記録に対して電子マネーに交換できるポイントの付与が可能です。