将来に向けた全社的ICT推進でBuildee活用社員間の遠隔支援も行いレジリエンス向上を図る
一世紀以上前に広島県呉市で創業し、現在では東京に本社を置くゼネコンの増岡組では、経営方針としてICT活用を推進、その一環としてBuildeeの3つのサービスとBANKENシリーズの活用を進めています。導入の先駆者となった社員が、他現場のBuildeeにログインして支援するなど積極的にICT活用に取り組んでおり、働き方の改革を図っています。
導入前の課題
将来に向けた変化の先取りを目指し
積極的なICT活用に取り組む
1908年(明治41年)に建設業を始め、一世紀を越える歴史を持つ建設会社、増岡組。同社の特徴の1つは、先進的なビルや道路など各種建設・土木工事を数多く手掛ける一方、神社などの伝統建築にも強みを持っている点です。例えば、国宝で世界遺産にも指定されている嚴島神社大鳥居の大規模修復工事(2019~2022年)では、伝統技術による修復と、新たな技術による補強を組み合わせ、その優美な姿を長期に渡って保てるよう復元させました。
増岡組では現在、社会環境の変化を先取りしていくような組織を目指しており、ICT活用にも積極的な姿勢を見せています。 「現社長は、新たな経営方針の中で先進技術の積極活用を明記しています。先進的な工法や建材などはもちろん、建築でのBIMや土木でのドローンといったICT関連の技術も含めて駆使し、生産性向上などの効果につなげていく考えです」と、専務取締役 技術管理本部長の三浦英幸氏は話しています。
ICT推進を盛り込んだ新経営方針の下、それまで社内各部署が独自に取り入れていたICT活用を全社的な取り組みへ格上げする活動も進められました。その1つが、現場での連絡調整、書類作成などの事務作業効率化につながるICT活用です。 この取り組みにより、増岡組の社内ではさまざまなICTツールが広まっていきました。その1つがBuildeeです。社内で最初にBuildeeを採用した広島本店 建築工事部 建築工事課 工事長の兼氏輝人氏は、それまでに現場で感じていた課題について以下のように説明しています。 「2021年に担当した現場は敷地が広く、ゲートが7つあり、それぞれ多くの車両や資機材が出入りしていました。その現場で紙ベースでの連絡調整、打ち合わせに限界を感じ、また安全書類も膨大な量になるため、そうした事務作業を何とか軽減したいとさまざまなサービスを検討しました」
導入の経緯
各サービスを網羅するBuildee
遠隔支援でICTの利用促進も
そして、兼氏氏はさまざまなサービスを検討する中で、現場負担の軽減を考え、「それぞれ別ベンダーのサービスを使うとなれば、同じ内容を二重に入力するなどの必要が生じて手間が増え、現場にも混乱が出ることでしょう。しかし、リバスタのBuildeeの各サービスで統一した場合は、そのような問題もありません。こうした点にイノベーションを感じて、2022年から私が担当する現場で利用を開始しました」とBuildeeを選択した経緯を話します。
その後、兼氏氏の活用効果が東京支店および広島本店の技術統括に伝わり、2023年1月の経営方針でBuildeeの全現場導入を決定しました。東京支店では小規模な現場を除く全現場に導入し、広島では急展開中です。現在ではBuildeeの3つのサービスを利用、さらにBANKENシリーズを併用する現場も増えています。 「現場の社員の中には、ICTに抵抗を感じる人もいるとは思いますが、こうした現場DX(デジタルトランスフォーメーション)は業務効率化に効果を発揮しますので、将来のために必要な取り組みです。会社の経営方針として、不慣れな人にも克服して使ってもらえるよう促しています」(三浦氏)
経営方針だけでなく、現場どうしの横の繋がりも、普及を進める上で役立っています。例えば、増岡組のBuildee利用の先駆けとなった兼氏氏は、自身の業務の合間に他の現場への支援を行っています。
「Buildeeはクラウドサービスなので、場所を問わずアクセスして利用でき、遠隔で業務のフォローを行うことができます。私も導入当初は、リバスタが提供しているBuildeeヘルプセンターにお世話になりました。最近では担当している現場に加え、他の現場のBuildeeにアクセスして、データの確認や整理などの支援を始めました。本店などからも事務職員が現場のBuildeeを支援することが可能なので、いずれはそのような業務支援体制を社内で構築していきたいと考えています」
導入効果
Buildeeの各サービスで業務効率化
BANKENとの連携の有効性も評価
増岡組では、Buildeeの3つのサービスとBANKENシリーズの導入で、現場の業務には大きな改善がみられました。
「Buildeeの導入で生産性の向上を明らかに実感できており、採用して良かったと思います。例えばBuildee調整会議は、協力会社が事前に入力してくれた情報により打ち合わせ時間の短縮になっていますし、揚重機計画などの機能も役立っています。協力会社にとっても、Buildeeは費用負担がない上に、気付いたとき即座にスマホなどから入力できるため、情報を伝え忘れるといった懸念が減っていることでしょう。Buildee労務安全は、ほぼ全ての書類を活用しており、それによる効率化の手応えを感じています。安全関連書類の期限切れ通知などは人間の目で確認するより確実で、信頼できます」(兼氏氏)
また兼氏氏は、入退場管理やBANKEN認証機器について、「CCUSのカードリーダーだけだった頃に比べると明らかにタッチ率が向上しました。体感値ですが何十倍にもなった気がします。一度マスタに登録された情報が、『Buildee労務安全』や『Buildee入退場管理』へも連携できるため、情報入力作業などの手間が軽減されています。作業者情報を登録する際、ほかの現場で顔認証登録が済んでいる人なら、そのままデータを受け継いでくれる点も便利です」と高く評価しています。
そして、3つのBuildeeサービスで統一した決断が正しかったと話します。「例えばある会社において、一部の業務でBuildeeサービスを使い、他方では別の安全管理クラウドサービスを使っているケースもあるかと思います。そうすると、現場の業務効率化を目的に各サービスを導入したにも関わらず、作業員情報等を二重入力する必要性が出てしまい、かえって手間になってしまうのではないかと思います。あくまでこれらは想像ではありますが、そうしたケースも鑑みるとBuildeeサービスに統一して正解でした」(兼氏氏)
今後の展望
多岐に渡る現場業務の負担を
本支店などで分散できるように
一方で兼氏氏は、Buildeeのさらなる活用について課題を感じています。
「調整会議には非常に多彩な書類があり、まだ使っていない機能もあるので、もっと活用していきたいと考えています。また、なかなか活用できていない人もいるようなので、社内で勉強会などを開催することを検討中です。若い世代はクラウドサービスなどの扱い方を早く吸収するので、彼らをBuildeeのシステムに招待して触れてもらうこともしています」 2024年4月からは、建設業でも時間外労働規制が他業種に揃えられることになります。それを目前にした今、増岡組ではさらなる働き方改革を進める方針です。三浦氏は、そのことについて以下のように語っています。「当社でもさまざまな取り組みを進めているところです。特に、原価管理のための作業が、現場にとって大きな負担となっていますので、負担軽減のための対策を検討しています。4月から広島本店ではBuildee後方支援体制を内勤で支援する体制を整えました。内勤者により現場の負担をすることも、その1つの対策です。リバスタには今後とも、現場に集中する傾向のある業務負担を軽減、そして分散できるような仕組みを作って提供していただきたいです」