導入事例

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導入事例 調整会議

日本国土開発株式会社

本社が主導し全現場で施工管理サービスを採用
独自の帳票やマニュアルを整え現場への定着を促進

「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」との経営理念を掲げる日本国土開発株式会社は、働き方改革の一環として、リバスタの建設現場施工管理サービス「Buildee調整会議」を2018年から順次、全国の現場に導入してきました。自社に合わせたカスタム帳票やマニュアルを整備し、支店や現場への説明会を積極的に行うなどの取り組みで現場への定着を促進、効果を挙げています。

導入前の課題

工事安全打ち合わせの時間短縮が課題に

2021年4月に創立70周年を迎えた日本国土開発株式会社。戦後の荒廃した国土の復興を目指し、人力工事が中心だった建設業に大型機械などを活用した「機械施工」を普及させることを目的に設立され、「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」との経営理念を掲げています。

そんな同社が近年、積極的に取り組んでいる課題の一つが、働き方改革です。安全品質環境本部 安全品質環境部長の鈴木広隆氏は、以下のように説明しています。

「2017年、国の動きに合わせ、当社も働き方改革や業務効率化に取り組み始め、安全書類のデジタル化などを検討してきました。これに関連して2018年には、当社独自の『健康経営宣言』を行い、働き方改革推進室を設置し活動しています。そうした取り組みが評価され、『健康経営銘柄』『健康経営優良法人ホワイト500』に2020年と2021年認定されました」

こうした活動の一環として、日本国土開発が取り組んだのが、工事安全打ち合わせの時間短縮です。当時、打ち合わせには30分程度要していた上に、追加で調整が必要な場合もあり、10 ~ 15分ほど居残りで打ち合わせを行うことも少なくありませんでした。また、その準備にも、担当者が1時間30分ほどの時間を費やしていました。

「翌日の作業内容は、一般には職長たちが各自記入して提出しますが、当社の現場では従来より元請である当社の社員が聞き取って記入してきました。これを担当する社員は、朝10時から現場を巡回しつつ翌日の作業内容を職長たちに確認した上で、事務所に戻って30分ほどかけて日誌やKY書類を作成し、所内の回覧や上司の確認などを得て打ち合わせに臨んでいました。またKYなどの安全関連の書類も、かつてはExcelワークシートや紙の帳票を使っており、加えて現場ごとに所長の判断で当社の標準帳票に項目を追加するなどしていたため標準化できておらず、工期の途中から現場に入った社員が混乱することもありました」と、東日本安全品質環境部 担当課長の鎌田吉則氏は説明します。

導入の経緯

早くから全国展開を意識、帳票やマニュアル等の準備を進める

この課題を解消するきっかけとなったのは、鈴木氏らが参加したリバスタ主催のユーザー交流会でした。

「安全打ち合わせを効率化するシステムを求め、ベンダーを探そうとしていた矢先、2017年8月に開催された交流会をきっかけにリバスタが『Buildee調整会議』を提供していることを知りました。他のベンダーにも話を聞きましたが、電子マニュフェストサービスの『e-reverse.com』からの付き合いがあり、当時のリバスタ営業担当者が当社の要望に対して真摯に協力してくれたこともあり、Buildee調整会議を採用しました」(鈴木氏)

日本国土開発はBuildee調整会議を選んだポイントとして、特に重視した点は帳票のカスタマイズで、Buildee調整会議の標準帳票をどこまで自社のスタイルに合わせられるかについて打ち合わせを重ねました。導入当初からBuildee調整会議の全社展開を意識しており、まず東京事業所内の土木・建築それぞれ1現場で試行して、意見や要望等を帳票類に網羅できるようカスタマイズし、2018年10月に安全指示書と安全ミーティング日報を、全国の新規着工現場でBuildee調整会議を導入する方針を打ち出しました。

日本国土開発では全社展開に向けて、Buildee調整会議を活用するため業務フローを練り上げ、独自のマニュアルや手順書などを作成。導入説明会を各支店の社員や現場の第一線で作業を行う職長に対して開催し、様々な準備も行ってきました。これまでとは仕事の流れが大きく変わることや、デジタル機器が苦手であるなどの理由から、Buildee調整会議の利用に抵抗感を持つ人も少なくありませんでした。一方で展開を進めていく過程でBuildee調整会議を高く評価する現場も出てきて、徐々に風向きが変わっていくことが実感できました。Buildee調整会議の利用を促進し、活用を支援する体制を整えていったプロセスについて、鎌田氏は以下のように振り返ります。

「全社で新規に着工する現場は、短期間・小規模なものは除き原則としてBuildee調整会議を使う方針になったことで、新規現場が開始される毎に現場を訪問して説明会を行いました。現場では、まず所長にBuildee調整会議の概要を理解してもらい、続いて担当者たちに具体的な説明を行って設定してもらう、現場に入る職長たちを呼んで実際にやってもらう、といった流れです。マニュアルを用意したり、事務所に使い方を掲示したりするだけでなく、現場で協力会社の人たちに説明できるよう、社員たちにも操作をしっかり覚えてもらうことに苦慮しました。リバスタの担当者も、我々と一緒に理解を広めていくため、当社の現場にも積極的に入ってくれてとても助かりました」

導入効果

打ち合わせ時間が短縮、バラバラだった帳票類も統合

日本国土開発では2021年11月時点で、55の現場でBuildee調整会議を利用しています。導入した現場では、安全打ち合わせが大きく変わりました。翌日の作業内容は工事安全打ち合わせに先立って、協力会社側がスマートフォンや現場事務所に展開したiPadを用いてBuildee調整会議に入力。日本国土開発の現場社員たちは、現場を巡回しつつ作業内容などを職長たちから聞き出す必要がなくなりました。打ち合わせの所要時間も15~20分ほど削減できたといいます。

また、Buildee調整会議の導入は、バラバラだった帳票類の統合・集約にもつながりました。東日本安全品質環境部長の小笠原進氏は、以下のように説明します。

「例えば、以前ゲート管理や資機材管理といった帳票は1枚になっておらず乱雑であったものが、これらの管理もBuildee調整会議で行うことで入力や確認が容易になりました。また、以前は当社の社員が連絡調整会議の中で、資機材の搬出入の状況を確認し打ち合わせ記録に記入をしていたため、会議の時間が長くなっていました。ところが、Buildee調整会議により職長の方々から資機材等の情報を事前に入力して頂くことで、連絡調整がスムーズとなり会議の時間が短縮され、直ぐに現場の業務に復帰できるようになっています。今では協力会社の方々もBuildee調整会議に慣れてきて、現場業務を進める中で当たり前のように使ってくれています。しかし、職長の方々が入力しないことには始まらないので、不慣れな方にはスマホの操作を教えながら入力のお手伝いをしているのが現状です。職長の彼らにとっては、スマホに作業内容を入力するという業務が若干増えてしまったのかもしれませんが、Buildee調整会議の利用を通じて彼ら自身、そして当社の社員たちにとっても、安全意識を高める効果があると考えています。将来的には、職長の方々がさらにスマホを使いこなせるようになって、調整会議やKYのみだけではなく、クレーンや建設機械等の作業計画書等の作成も含め、現場の管理が一元化されれば、さらなる現場の効率化が望むことができると思います」

今後の展望

3サービスの導入によるIT ツール整理も検討

現在、日本国土開発はBuildee調整会議に加え、Buildee労務安全とBuildee入退場管理の導入を検討しています。Buildeeが展開している3サービスの導入です。その背景には、IDやパスワードが共通化されるという点が大きな要因となっています。

「別々のシステムを使っていると、ユーザーはそれぞれのシステムでID・パスワードを入力しログインしなければなりません。管理側としても、各現場についての情報を2つ3つのシステムに登録するのは無駄な手間です。こうした理由から、プラットフォームを一つにしたいと以前から考えており、現在は検討を進めています」(鎌田氏)

3サービスを統合的に利用することで、現場にとってはITツールが整理され、より使いやすくなるはずです。また、現場での活用を支援する本社や支店の体制もスマートになるとともに、ベンダーとの協力関係も1社に絞られるため、より密な関係を構築できます。鈴木氏は、今後のデジタル化の取り組みを踏まえ、リバスタに対する期待感を以下のように語っています。

「当社では今、デジタルサイネージや新規入場者に向けた教育コンテンツの制作、オンラインによる安全パトロールなど、数々のデジタル化の取り組みを進めています。Buildeeに関しては、新たに搭載されるCO2排出量算出支援サービスにも注目しています。業界は担い手不足が顕著で生産性向上が急務ですが、リバスタの技術力は、その課題に貢献するでしょう。生産性向上を担ってくれるITベンダーとして、今後とも一緒になって取り組んでいただきたいと考えています。また、我々元請だけでなく協力会社にとっても、またアナログ派の人にも使いやすいよう、今後も改良を続けてほしいですね」