社員の横連携が「Buildee調整会議」の定着に寄与
労務安全、入退場管理を加えた3サービス活用によるメリットにも期待
得意分野を生かした事業展開で独特の存在感を持つゼネコンの三和建設は、これまでExcelで行っていた作業間調整を、リバスタの建設現場施工管理サービス「Buildee調整会議」へと移行しました。使いこなしノウハウなどを社内で共有したり、協力会社にも動画で使い方を紹介するといった工夫をしつつ、全現場で活用しており、今後は「Buildee労務安全」「Buildee入退場管理」の採用も検討しています。
導入前の課題
Excelによる作業間調整では時間がかかる
1947(昭和22)年創立の三和建設株式会社は、その得意分野である食品系の生産工場・物流倉庫などにおいては同じ顧客から長年にわたって信頼され受注を続けるなど、独特の強みを持つゼネコンです。近年では、専門ソリューション事業として「FACTAS(ファクタス)」「RiSOKO(リソウコ)」「エスアイ200」の3ブランドを展開、専門的な知識やノウハウを生かした提案に努めています。
「当社は、サントリーの山﨑蒸溜所に長年携わるなどの実績から、食品系では業界内でも大手に負けないノウハウを持っていると自負しています。2021年に販売を開始した、熱中症予防・対策に役立つ『ゼネコンがつくった3Kしおゼリー』も、食品工場を運営する顧客との縁から共同開発した製品です。当社ECサイトを通じて一般販売しているほか、当社の現場では熱中症対策の一環として職人さんたちに配布しています」と、同社東京本店 工事グループ グループリーダーの髙橋亮氏は説明します。
この食品系に関する強みを生かしたのが、食品工場トータルソリューションブランドのFACTASです。RiSOKOも同様に、危険物倉庫や冷凍倉庫、自動倉庫などニッチな専門知識が要求される倉庫を専門に手掛ける建設トータルソリューションブランドとなっています。一方のエスアイ200は、さまざまな工夫で付加価値を高めた長期優良住宅を提案する、集合住宅のブランドです。
また三和建設では、創業の地である大阪に加え昭和30年代には東京へ進出を開始し、現在では大阪と東京の2本店体制で近畿圏と首都圏を中心に事業を展開しています。それぞれの本店が、営業から設計施工、さらに人材採用まで個別に行える体制となっている一方、事業ブランドや人材の育成・交流などには全社共通で取り組んでいます。
「従業員は若手が多く、例えば東京本店では工事グループ18名の半分以上が20代です。『つくるひとをつくる』という当社の理念に則り、定期的に開催している社内大学『SANWAアカデミー』で若手への教育やノウハウ継承などに努め、入社1年目は全員が大阪の『ひとづくり寮』で生活を共にして絆を深めるといった取り組みを行っています。またIT活用においても積極的でありたいと、社内では『日本で一番使いこなす会社になる』というスローガンを掲げています」(髙橋氏)
三和建設のIT活用においては、作業間調整の仕組みを近年改めました。同社の現場で活躍する中堅社員の一人、東京本店 工事グループの舘慶樹氏は、それ以前の調整作業の様子を以下のように語ります。
「以前は作業間調整にマクロや数式を駆使したExcelで管理を行っていました。協力会社の方々に記入してもらうのですが、その記入待ち時間が発生することも少なくありません。しかも、現場で使う機材や車両などの割り振りを手作業で行っていたため、そこにも手間や時間がかかっています。そうした内容を確認して、印刷・配布するまでには全部で数十分を要しており、昼礼開始の時間に間に合わなかった日もよくありました。また日報も、このとき記入してもらった内容を基に取りまとめますが、出面の集計などに30分ほどの時間が必要でした。もちろん、日報がまとまらなければその日の現場での仕事を終えることができません」
導入の経緯
月例会議などで活用ノウハウなどを共有
この作業間調整を効率化するツールとして、リバスタが三和建設に提案したのが、建設現場施工管理サービスのBuildee調整会議です。三和建設では以前からリバスタの電子マニフェストサービス「e-reverse.com」を利用していることもあり、大阪と東京の工事部リーダーなどが検討した上で全社的に採用が決まりました。
「当社は、新しいものに積極的に挑戦する社風があります。私としても、昼礼の時間を短縮できることや、大型モニターで情報を共有できるといった説明を聞いて、画期的なサービスだなと感じました」と髙橋氏は語ります。
こうして、リーダーたちによるトップダウンで導入が決まったBuildee調整会議を、現場では若干の懸念を感じつつも利用を始めました。
「当社で作業間調整するために使ってきたExcel上の項目の一部がBuildee調整会議にはないことなど、気になる部分もありましたが、最終的には『あるなりに使う』という方針で利用しています。最初はリバスタにも操作など教えてもらいながら慣れていきましたが、やはり若手社員の方が習熟は早かったですね。所長クラスの社員より、彼らの方が使いこなしは上だと思います」(舘氏)
使いこなしに関しては、若手からのボトムアップに近い状況です。
「寮生活のおかげで、特に若手の間は同期の横のつながりが強く、日頃から頻繁に連絡を取りあっているようです。そうした中で、Buildee調整会議の使いこなしについてのさまざまな情報も、彼らの間で共有されています。また工事部の月例会議の中でも、Buildee調整会議の活用ノウハウなどを共有しています」(髙橋氏)
なお、Buildee調整会議の利用を全現場に定着させる上では、協力会社のスタッフも重要な役割を担っています。Buildee調整会議を利用してもらえるかという懸念に対し、三和建設では動画で使い方を紹介するなどの工夫をしました。
「そうした動画を、安全大会の場で見てもらったり、動画URLをQRコード化して配布して見てもらうなど工夫しました。これらの取り組みが功を奏して、多くのスタッフがBuildee調整会議を使いこなしてくれるようになっています」(髙橋氏)
導入効果
本店から、現場の活動状況を把握
こうしてBuildee調整会議が定着していった結果、現場の業務は効率化されました。その効果を、舘氏は以下のように説明しています。
「入力は主に協力会社が行っています。当社では現場配置図を描くなどの作業で所要時間は20分ほどで、昼礼などの時間はBuildee調整会議導入前と比較して短くなりました。日報も、Buildee調整会議上の数字をチェックして承認ボタンを押すだけですから、出面を集計して印刷するまででも5分ほどで済んでいます。おかげで仕事を終える時間が早まりました」
現場の他の社員たちも、Buildee調整会議の効果について「搬出入に関する情報が協力会社にも共有されているので、『聞いていないよ』というやり取りがなくなった」など、高く評価しています。
三和建設が得意とする食品工場や特殊倉庫では、高い天井に配管や配線を施工する場面も多く、多数の高所作業車の割り振りには時間を要することも多かったのですが、「現場に入れる機材や車両の割り振りが前日の昼の打ち合わせで完了できるので、ストレスがなくなりました」と舘氏は話します。
また、本店の管理サイドでも、Excelでの管理に比べ、本店からでも現場の昼の打ち合わせ内容を見られるため、現場の状況を把握しやすくなり、安心感が大きくなりました。
「現場は悪天候などさまざまな影響から混乱が生じて遅れてしまいがちですから、安全パトロールなどの際に気になる現場があれば、後日そこに電話などして状況を聞いたりしたものです。しかし、現在はBuildee調整会議のおかげで本店からでも様子を確認できるようになり、いちいち電話して現場の社員たちの手を止めることもなくなりました。また過去の情報も容易に振り返れるので、現場が直面する問題に対し、別の現場の記録を参考にアドバイスをするといったことも可能になりました」(髙橋氏)
今後の展望
労務安全や入退場管理もBuildeeを検討
三和建設ではBuildee調整会議に大きな効果を感じていますが、一方で髙橋氏は次のように述べます。「まだ全ての機能を100%使いこなしているとは言えません。特に帳票のカスタマイズ機能は、当初から行いたかったのですが、まだ活用できていません。講習会など勉強する機会を増やしたり、実践的なノウハウをユーザー間で共有できる場など用意してくれたりすればと期待しています」(髙橋氏)
一方で同社では、Buildeeのサービスラインアップが包括的なものになりつつあることを受け、Buildee調整会議だけでなく「Buildee入退場管理」「Buildee労務安全」の利用も検討しています。
「労務安全や入退場管理もBuildeeシリーズで一本化できるならその方が使いやすいでしょうし、リバスタが示す展望、サービスの広がりにも期待しています。新サービスや機能拡充によって、それを利用することで我々の業務もよりスムーズになるでしょう」(髙橋氏)