Buildeeシリーズを連携し現場への負担を軽減
現場の見える化を目指して本社でデータを収集・活用
三井住友建設では2019年にBuildee調整会議を導入した後、労務安全および入退場管理も追加で採用し、合わせてBANKEN入退場機器も利用開始しています。Buildeeの各サービスは現場の作業負荷軽減に役立っているだけでなく、本社でもそのデータから現場のさまざまな情報を収集・分析・活用することが可能になりました。Buildeeを通じて情報を得ることで、各現場の内容を把握できるため、現場への負担を軽減させることに成功しています。
導入前の課題
現場の時短を図るためのシステムを検討
旧三井建設株式会社と旧住友建設株式会社の合併により、2003年に創立した三井住友建設株式会社。同社は、三井・住友2つの建設会社の遺伝子を受け継ぎ、土木・建築双方の強みを生かしながら、時代のニーズに対応する事業体制を築いてきました。コーポレートメッセージである「はしも、まちも、ひとも。」のもと、長大な橋梁や超高層建築をはじめとする先進的な建造物を数多く手掛けています。
また同社では、コミュニケーションとチームワークも重視しており、「社員が仕事を通じて成長し、会社も社員とともに成長していく」というテーマで継続的に研修を行っています。
人材を重視する同社にとって現場からの声はとても大切にしています。ある時、建築の現場から、「打ち合わせ調整会議に非常に時間がかかるので何とかして欲しい」と相談を受けたそうです。職員が各社を回り、資料を作り、それを作業間連絡調整会議で使用しながら、その場で修正するという形で、とても苦労していたようです。さらに、建設関連の団体等からの依頼で、現場のさまざまなデータを集める必要があり、現場の人たちへアンケートを実施していました。
そのようなこともあり、現場の人たちの負担を減らすために業務効率化、時短を目指しました。そこで着目したのが、現場での作業間連絡調整に関わるシステムです。
導入の経緯
現場の負担軽減に向けてデータを収集
作業間連絡調整の効率化を目指して、三井住友建設は2019年にBuildee調整会議を導入しました。三井住友建設安全環境生産管理本部安全環境統轄部次長の陣内久之氏は、導入した経緯について以下のように話しています。
「作業間連絡調整の負担軽減策はないかと現場から要望され、検討していたところに、イーリバースドットコム(現リバスタ)から提案があり、採用することにしました。東京建築支店など一部の現場で2019年の夏頃から試験運用を始め、秋頃には導入を本格化させています。当時は支店ごとに帳票が異なっていたため、これをすり合わせて全社共通のルールを作り、現場での理解促進にはリバスタにも協力してもらいつつ、各現場にBuildee調整会議を展開していきました。当時は現場でのスマホ普及率があまり高くなかったため、現場事務所にBuildee用のPCを配布していた時期もあります」
その後、Buildee労務安全・入退場管理やBANKEN入退場機器が登場すると、同社はこれらも併せて導入しました。Buildee労務安全については、それまで利用していた競合サービスから移行し、Buildeeへ統合したそうです。
陣内氏はその理由について、「競合サービスから移行したのは、Buildeeの各サービス間において施工体系の情報やCCUSと連携していることが大きいですね。また、ベンダーであるリバスタのデータ提供に関する姿勢も評価したポイントとなりました。競合ベンダーとは違い、我々ユーザーからのデータ提供の要望にも応じてくれる上に、データ連携を可能にするAPIも計画中(※当時)との説明がありました。社内システムやOfficeアプリを用いた、収集データの活用が期待できると考えました」と説明しています。
データ活用を重視したのは、現場の負担軽減が主な目的だったとのことです。Buildeeに入力・蓄積されているデータを本社側でも活用できれば、現場に情報提供を求めることなくさまざまな情報を得ることができ、本社の業務も円滑に進められます。
「建設関連団体などのさまざまな組織が、しばしば業界各社に対してアンケートを実施しています。例えば、CCUSのタッチ率、現場閉所率といった内容です。こうしたアンケートに回答するために、その都度、現場に問い合わせていては負担をかけてしまいます。Buildeeのデータを活用できれば、そのような回答も簡単に行えるので、現場への負担を減らせますし、我々も自分のPCで迅速に集計できるというわけです」(陣内氏)
導入効果
現場だけでなく、本社側でもデータ活用による効果を実感
Buildeeの各サービスとBANKEN入退場機器の活用は、現場でも本社でもさまざまな効果を三井住友建設にもたらしています。
「特に効果的だったと思うのは、BANKENFACEの顔認証による現場の入退場ですね。当初はCCUSのカードリーダーも利用していましたが、カードを携帯し忘れる方や、紛失したくないからと会社に置いたままにする方もいたそうです。顔認証と連動することで、タッチ率は向上しました。もちろん、作業間調整など日々の業務も効率化されています。我々安全担当部署の業務でも、Buildeeを参照することで、各現場の内容を容易に把握できるようになりました。例えば、安全パトロールの前に現場の予定を確認したり、もし何らかの問題があった場合にも、施工体制などを確認して迅速な対応に繋げられます」と、陣内氏は導入効果を実感しています。
同社では、BuildeeのデータをAPI連携することによって社内の各システムにも取り入れ、活用できる環境を整えました。積算資料や歩掛調査等にも出面までを集計する社内システムにおいても、Buildeeのデータを利用しているとのことです。(陣内氏)
今後の展望
現場の見える化を促進し、業務負担にもさらなる軽減策を
三井住友建設では、Buildeeのデータを用いた情報の活用をさらに加速させようとしています。
「まずは現場の見える化を、さらに進めていきたいですね。すでに構築してある、全社的な情報ポータル基盤でも、Buildeeのデータを活用していこうと考えています。これにより、経営層などの方たちでも、さまざまな情報を見られるようになります。Buildeeのデータは膨大なものですから、上手に使いこなせば非常に大きな効果が見込めます」(陣内氏)
さらに陣内氏はBuildeeデータ活用の一例として、現場で働く人たちの見える化と、それにより期待できる効果を挙げています。
「当社の現場に従事している方たちを年齢や職種別に集計すれば、例えば『鳶職には以前と比べて若い世代が増えている』などの動向が見えてきます。そのほかにも国籍別の集計で、どの国の方が多いか見えてくれば、その方たちの母国語に対応する書類や看板を用意するなどの対応がしやすくなり、より多くの方が働きやすい現場にできます。こうしたBuildeeから取得したデータをAPI連携して活用できれば、リアルタイムに可視化した情報を基に、よりタイムリーな対応が可能になってくることでしょう」
一方で陣内氏は、業界全体の喫緊の課題である「2024年問題」、すなわち時間外労働規制の厳格化について、さらなる対策を検討する必要があるとも語っています。
「社員たちにはできるだけ現場を見守ってもらいたいので、現場以外での業務の効率化をさらに加速させる必要があります。Buildeeの導入により、ある程度は効率化できましたが、まだ現場の業務には課題があると感じています。例えば、書類の提出状況や内容確認作業、CCUSや顔認証の登録が済んでいない作業員に向けた案内などには、時間を要しているのが現状です。大きな現場ではそうした頻度も多いものですから、大きな負担になります。その対策として、内部部署でのサポートや業務の一部外注を導入もしくは検討しています。リバスタにも、現場でのBuildeeの使用感をさらに高めるなどして、我々の業務効率化を支えてもらえることに期待しております」(陣内氏)