内製の工事日報システムから「Buildee調整会議」へ移行
本社組織による導入支援で定着促進・標準化を図る
愛知県名古屋市に本社を置く矢作建設工業は、これまで使ってきた内製の工事日報システムから、リバスタの建設現場施工管理サービス「Buildee調整会議」へと移行しました。現在では全ての建築現場で利用しており、利活用を本社から支援する体制を整えました。調整のための会議やその準備などの時間を短縮でき、協力会社への情報周知なども効率的に行えるようになりました。
導入前の課題
生産性向上のためにデジタルツールを活用
東証1部上場の総合建設会社である矢作建設工業は、東海地方を中心にマンション・物流施設・工場・駅舎などの建築工事や、道路・鉄道・トンネルなどの土木工事の施工に加え、工業団地の開発などの不動産事業にも注力しています。また、分譲マンション開発を手掛けるグループ会社や建物の維持・管理、リフォームなどを手掛けるグループ会社と連携し、用地の取得から設計・施工・管理・メンテナンス・リニューアル業務に至るまで、建物のライフサイクル全体をカバーする総合力を有しています。
また近年では、物流施設をはじめとした大型案件の提案力・技術力の向上や、生産性の向上を図るためBIM(BuildingInformation Modeling)やクラウドサービスなどさまざまなデジタルツールの活用が進められています。
同社では、かつては業務システムを自社開発する内製が基本スタイルでしたが、近年では業務の複雑化・高度化に伴い外部サービスを積極的に導入するように変化してきました。専門性に特化したツールを組み合わせて使用することで、全体最適を図るという方針です。
導入の経緯
全現場でBuildee調整会議を導入
このような方針に基づき、「工事日報」も内製システムから、建設業向けのオンラインサービスとして注目されていた「Buildee 調整会議」に切り替えました。
Buildee 調整会議の導入にあたって、建築事業本部 管理部管理課 係長の吉松貴司氏は以下のように評価しています。
「Buildee を運営する株式会社リバスタは、電子マニフェストで『e-reverse.com』を以前から利用していたこともあり、これまでの信頼感が企業選定にあたっての大きな加点要素となりました。またリバスタは、スーパーゼネコンの取り組みを受け継いだ会社であり、建設業界のノウハウを豊富に持っている点も評価できました」
Buildee 調整会議は、2019 年初めから2 つの建築現場で試用開始、2019 年8 月頃には5 現場に拡大。その後、業務効率化が見込めることが実証されたので、2020 年4 月に建築の全現場へと展開しました。
建築事業本部 建築企画部 建築企画部長の杉浦竜介氏は、「建築事業本部では、Buildee の導入を現場任せにするのではなく、全ての現場・全ての現場スタッフが温度差なく利用できるようにすることを目的にBuildee の導入を本社が支援する体制を整えてきました」と話します。
現場の導入支援の中核を担っているのが建築企画部です。配置図や機材スケジュールといった各種機能に関するマニュアル作成をはじめ、社内ルールの整備、集合研修、オンライン研修の開催のみならず建築企画部のメンバーがWEB や直接現場に足を運び、現場からの問い合わせ対応や対面での使用方法の説明など、各現場の特性や規模に応じた導入支援を行っています。
また、吉松氏が所属する建築事業本部 管理部 管理課でも建築企画部と連携し、管理者として利用者のアカウント設定や運用コストの管理などのオペレーション業務によるバックアップを行っています。
導入効果
自社のみならず協力会社にもメリット
Buildee調整会議は、現場のスタッフの間でも非常に好評です。建築事業本部 施工本部 第三工事部 係長の林博之氏は、2019年6月頃からBuildee調整会議を使っています。
「特に評価したのは配置図(現場配置計画)です。現場図面の上に重機などを容易に配置でき、例えば狭い現場にクローラクレーンを置いたときにトラックやトレーラー等が実際に入るかどうかがすぐに分かります。また、図に配置した機材などの色を変えるといった操作もOfficeアプリと同じような操作で簡単に美しくできる点が評価できます」(林氏)
以前は現場図面や機材などの図を印刷し、ホワイトボードにマグネットで貼り付けたり、追加の情報を手書きしたりして配置図を作っていました。
「手書きで作っていた頃は、連絡調整を含めると30~40分ほど要していましたが、デジタルサイネージを朝礼看板に導入した効果もあり、作成時間は15~20分くらいで済むようになりました。また、日報もあらかじめ協力会社がBuildeeに入力し、その内容を現場のスタッフがチェック・修正するということが可能となったので、日報の作成も短時間で済むようになりました」(林氏)
建築事業本部 施工本部 第三工事部 所長の氏川智英氏もBuildee調整会議を高く評価しています。
「朝礼の時間短縮だけでなく、より質の高い調整ができるようになった点も評価が高いです。これまでは、資機材の搬入スケジュールの確認など、メンバー全員が事前に情報を共有してから、朝礼や夕礼を実施する必要がありました。しかし、Buildeeが導入されたことによって業務が見える化されたため、バッティングしている業務のスケジュール調整など、打ち合わせで本当に議論したいことにしっかり時間を割けるようになりました。現場における注意喚起なども、これまでは朝礼などでしか周知することができませんでしたが、写真をBuildeeにアップロードして情報共有することが可能となり、現場の担当者や協力会社の作業員にリアルタイムで通知できるようになったため、事務所に戻って連絡するといった手間もなくなりました」
杉浦氏は、Buildeeは自社のみならず協力会社にとってもメリットがあるとみています。
「例えば、これまで揚重機の使用予定などは当社の現場スタッフを介して調整していましたが、Buildeeを使うことで、協力会社同士で直接調整することが可能となりました。調整に係る時間短縮やあらかじめ調整することが可能となるので、彼らの業務効率の向上にもつながっています」
今後の展望
新たなBuildeeの機能連携にも期待
矢作建設工業ではBuildee調整会議の全ての建築現場への導入とほぼ同時期に、ビジネスチャットツールの「LINE WORKS」を導入し、自社と協力会社との連絡手段に活用しています。
「現場全体に関する指示などを行うBuildeeに対し、LINEWORKSは細かなやり取りやタイムリーな返信がほしい場面などで利用するといった使い分けをしています。チームごとにトークルームを作ってやり取りしたり、現場内の意見を一斉に聞いたりするなどのシーンで活用しています。ちょっとしたやり取りには絵文字やスタンプ等で返信するといった使い方もしていますね。所長の私が絵文字やスタンプを使うことで、若い職員も使いやすくなり、よりスムーズなコミュニケーションにつながると思いますし、ひいては業務効率化にも寄与すると思います。今後、BuildeeとLINE WORKSが連携すると聞いており、どういった連携になるのか興味があります」(氏川氏)