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施工体制台帳とは?

※外国人建設就労者受入事業は2023年3月31日に制度が終了しております。本記事執筆時点とは情報が異なること予めご了承ください。

さまざまな業種、会社が同時に作業を進める工事現場。事故を未然に防いで安全を管理するために、元請会社は施工体制を明らかにし、適切に管理しなければなりません。そのために作成が義務付けられている施工体制台帳の目的と内容、書き方を記入例を参考に解説します。

この記事はこんな読者におすすめ

  • 施工体制台帳を作成する目的を知りたい
  • 施工体制台帳のわかりやすい書き方を教えてほしい
  • 施工体制台帳の各項目について説明してほしい
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1. 施工体制台帳とは?

施工体制台帳とは、元請会社が工事着工前に作成しておかなければならないグリーンファイル(安全書類)のひとつです。元請会社はもちろん、工事に携わるすべての下請会社の情報とそれぞれの施工範囲、技術者の氏名などを記載します。元請会社が施工体制全体を把握することで、施工上の安全と品質の担保、工期や工程における遅延・トラブルの防止、一括下請負などの建設業法違反や不適格業者の参入を阻止することを目的としています。また、生産性の低下につながる不必要な重層下請構造を防止するという意味合いもあります。

建設業法第24条の8によって施工体制台帳の作成義務が定められており、下請契約の総額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)の場合、作成義務が生じます。
「施工体制台帳は工事現場に備え置かねばならず、求めがあった場合は閲覧に供さなくてはならない。また、施工体系図を工事現場のみやすい場所に掲げなければならない」旨が規定されています。

また、公共工事の場合は、特別法である「公共工事入札契約適正化法第15条」にてより厳しい規定がされておりこちらを優先することとなるため、公共工事の場合は以下の様に運用します。

  1. 金額関係なく下請を使った工事は全て作成義務がある
  2. 作成した施工体制台帳の写しを必ず発注者へ提出しなければならない
  3. 施工体系図を、工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所に掲げなければならない
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2. 施工体制台帳の書き方・記入例

施工体制台帳には、建設業法施行規則第14条の2第1項に定められた、元請会社の許可に関する情報、施工対象となる請負建設工事に関連する事項、下請会社に関する情報、社会保険の加入状況、外国人就労者・実習生の有無などの記載項目が定められています。

「Buildee書式」を参考例として記入項目と内容を説明します。用紙サイズはA3横で、左側は元請会社に関する項目を、右側には一次下請会社に関する項目を記入します。一次下請会社が複数ある場合は、同じ書式で会社ごとに作成します。

会社名・事業者ID

文書タイトル「施工体制台帳」の下にある「会社名・事業者ID」の欄には、元請会社の会社名と、CCUS(建設キャリアアップシステム)に加入している場合は事業者IDを記入します。

事業所名・現場ID

この欄には工事を実施する現場作業所の名称と、CCUSに登録している場合は現場IDを記入します。

建設業の許可

元請会社が取得している建設業許可の業種、許可番号、許可(更新)年月日を記入します。

工事名称及び工事内容

発注者から請け負った工事の名称と、工事の内容(建物や建築物の構造、延べ面積など)を記入します。

発注者名及び住所

発注者の名称と所在地住所を記入します。

工期・契約日

発注者と元請会社のあいだで取り交わされた契約に基づいて、工期と契約締結日を記入します。工期の「自」の欄には工事開始日を記載し、「至」の欄には工事終了日を記入します。契約日は、発注者と元請会社の契約した日付を記入します。

契約営業所

元請契約は発注者と契約をした営業所で、下請け契約は「一次請業者と契約した営業所」を記載する欄です。例えば、契約したのが東京本社で施工が関西支社の場合は以下のように記入します。

記入例)
元請契約 ○○建設株式会社本社   東京都千代田区○○ X-XX-X
下請契約 ○○建設株式会社関東支社 東京都千代田区○○ X-XX-X

健康保険等の加入状況

元請会社が健康保険、厚生年金保険、雇用保険への加入の有無を「加入」「未加入」「適用除外」のなかから選択します。また、元請契約をした事業所と下請け契約をした事業所が異なる場合は、それぞれの事業所で加入している保険組合名、または事業所整理番号、厚生年金と雇用保険の事業者整理番号を記入します。

発注者の監督員名・権限及び意見申出方法

発注者は元請会社とのあいだで締結された契約内容が正しく履行されるよう、工事の施工状況を監督する監督員を指定します。「発注者の監督員名」欄には発注者から通知された監督員の氏名を記入します。「権限及び意見申出方法」の欄には「契約書記載の通り」や「契約書第〇条記載の内容」などと記入します。

監督員名・権限及び意見申出方法

この欄には元請会社が一次下請会社を監督するために選任した監督員の氏名を記入します。発注者の監督員とは異なりますので注意してください。「権限及び意見申出方法」の欄には「契約書記載の通り」や「契約書第〇条記載の内容」などと記入します。

現場代理人名・権限及び意見申し出方法

現場代理人は元請会社の代理として、現場の管理業務と発注者への意見申し出を行います。元請会社が選任し、「契約書記載の通り」や「契約書第〇条記載の内容」などと記入します。

監理技術者・主任技術者名

工事全体の技術上の管理監督を行う監理技術者、または主任技術者の氏名と保有する資格を記入します。

監理技術者補佐名

監理技術者補佐名の氏名を記入します。
非専任の「特例監理技術者」を監理技術者として配置する場合、「監理技術者補佐」を専任として配置する必要があります。監理技術者が専任の場合は、監理技術者補佐の配置は不要です。

資格内容

選任された監理技術者補佐の保有する資格を記入します。
監理技術者補佐となるには主任技術者の資格に加えて監理技術者資格または一級技士補の資格が必要です。また、監理技術者補佐として認められる業種は、主任技術者の資格を有する業種に限られます。

専門技術者名

元請業者が専門技術者を配置する場合は専門技術者の氏名、保有する資格内容、担当する工事の内容を記入します。

一号特定技能外国人の従事の状況(有無)

特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人として「特定技能1号」の在留資格を有する者が従事する予定の有無を選択します。

外国人建設就労者の従事の状況(有無)

外国人建設就労者の就労について、その有無を選択します。なお、外国人建設就労者が就労できる期限は最長で2023年3月31日までです。

外国人技能実習生の従事の状況(有無)

建設技能を習得するために来日し、技能実習生として在留している外国人技能実習生の就労について、その有無を選択します。

一次請負業者記入部分

施工体制台帳の右半面には一次下請会社の情報を記入します。基本的には左側と同様、元請会社と一次下請会社のあいだで締結した契約の内容を記入します。

  1. 会社名・事業者IDおよび代表者名、所在地住所
  2. 工期・契約日
  3. 建設業許可業種と許可番号、許可(更新)年月日
  4. 健康保険等の加入状況
  5. 一次下請会社の現場代理人名、権限及び意見申出方法
  6. 主任技術者名、資格内容
  7. 専門技術者名、資格内容、担当工事内容
  8. 一号特定技能外国人、外国人就労者、外国人技能実習生の就労の有無

以下の項目は、一次下請会社の現場管理に関するものであり、左側(元請会社の記載項目)にはない記載項目です。

安全衛生責任者名

一次下請会社が選任する安全衛生責任者の氏名を記入します。元請会社が統括安全衛生責任者を設置した場合、一次下請会社は安全衛生責任者を選任しなければなりません。
必要な資格は特に定められておらず、元請会社側の統括安全衛生責任者は現場事務所長、下請会社側の安全衛生責任者は職長がおもに担当します。

安全衛生推進者名

現場で働く人の安全と衛生を維持するため、安全衛生推進者の氏名を記入します。現場の規模(人数)に応じて、安全衛生推進者や安全管理者、衛生推進者などの選任が現場ごとに義務付けられています。安全衛生推進者は10~49人規模の現場が対象で、専門講習の修了者または一定期間以上の実務経験者が専任の要件となります。

雇用管理責任者名

主に現場の労務管理を行う雇用管理責任者の氏名を記入します。
現場で働く建設労働者の賃金台帳、労災保険、労働環境の整備のほか、労働者の雇い入れ、配置、技能の向上など労務管理全般を行います。

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3. 施工体制台帳の添付書類

施工体制台帳はこれまで紹介した書類に加え、添付書類が必要となります。添付書類は具体的には下記を指します。

  • 発注者との契約者の写し
  • 下請負人との契約書の写し
  • 配置技術者(監理技術者等)が資格を有することを証する書面
  • 専門技術者等をおいた場合は資格を証明できるものの写し
  • 配置技術者(監理技術者等)の雇用関係を証明できるものの写し

など

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