現場作業に潜む危険をあらかじめ察知し、安全かつ効率よく作業を進めるために欠かせないのが毎日の安全ミーティングです。作業者全員で職場における危険性または有害性等の調査をするリスクアセスメントを実施し、労働災害が生じない現場を目指すことが目的です。安全ミーティング報告書に記録しておく必要があります。現場作業を進める上で非常に重要な「安全ミーティング報告書」の正しい書き方を、参考例をもとに 詳しく解説します。
この記事はこんな読者におすすめ
- 安全ミーティング報告書の目的が知りたい
- 安全ミーティング報告書は誰が書くのか知りたい
- 安全ミーティング報告書の書き方を知りたい
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目次
1. 安全ミーティング報告書(危険予知活動報告書)とは
安全ミーティング報告書とは、建設現場全体で行われる安全朝礼に続いて、同じ職種と関連する作業の関係者が行う安全ミーティングの内容を記録する書類です。安全ミーティングには危険予知活動が含まれるため、別名で危険予知活動報告書とも呼ばれます。
建設現場での安全衛生管理は毎日、毎週、毎月をひとつのサイクルとして計画が立てられており、これを安全施工サイクルと呼んでいます。安全ミーティングは安全施工サイクルにおける作業前の重要打ち合わせに位置付けられています。
安全ミーティングでは、各請負事業者の職長や安全衛生責任者が中心となり、作業者に対して安全にかかわる注意事項などを前日の結果に基づいて指示します。また、作業者全員で作業に潜む危険性について話し合い、それぞれの意見や提案をとりまとめて職長が安全ミーティング報告書に記入します。
安全ミーティングのなかで行われる危険予知活動(KY活動)には訓練の側面もあります。現場環境や作業方法、使用する機械設備を実際に確認しながら、どのような危険因子があるのかを全員で話し合うことによって、危険への感受性と集中力を高めます。
安全ミーティング報告書は危険因子を取り除き、事故を未然に防ぐだけでなく、万が一事故が発生してしまった場合にも、現場での安全確保に不備がなかったかを検証・証明するために非常に重要な記録となるのです。
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2. 安全ミーティング報告書の書き方と記入例
安全ミーティング報告書は、次の5W1Hを明確にしながら具体的に各項目を記入することになります。
- いつ(When)
- どこで(Where)
- 誰が(Who)
- 何を(What)
- なぜ(Why)
- どのように(How)
「Buildee書式」を記入例として書き方を解説します。
作業日(いつ)
いちばん左の枠には作業日を記入します。左側には月を、右側には日にちを記入します。
作業場所(どこで)
実際に作業が行われた場所を記入します。「荷下ろし場」や「2階スラブ」「基礎型枠」など作業場所が明確になるよう具体的に記入します。
作業内容(なにを)
行われた作業の内容を「型枠剤の荷下ろし」「梁筋組み立て」「地中梁組み立て」など簡潔に記入します。
作業方法(どのようにして)
どのようにして作業するかを具体的に記入します。「ユニック車のクレーンを使用して運搬トラックの荷台から組み立て場所に荷下ろし」「担いで組み立て場所に小運搬」など、使用する設備や機材も含めて、どのような方法で作業するのか具体的に記入します。
作業人員
作業を行う作業者の人数を記入します。左側の欄には予定された人数を記入し、右側の欄には実際に作業を行った人数を記入します。
作業に必要な資格及び配置
クレーン作業など資格者、合図者を必要とする作業や、作業主任者などが配置される場合には有資格者や配置される作業者の氏名を記入します。合図者は特に資格を必要としませんが、クレーン作業には危険が伴うため、合図作業に習熟した合図者を配置する必要があります。
元請からの連絡調整事項
元請け業者からの指示や連絡事項がある場合は必ず記入します。「吊り荷の下に人を立ち入らせない」「安全衛生責任者(職長)は安全帯の使用を確認する」など、ごく当たり前のように思える事項でも、元請け業者からの特記事項として必ず記入します。
実施したリスクアセスメント
安全ミーティング報告書のなかで、最も重要なポイントとなるのがこの項目です。これから行う作業にはどのような危険があるのか、その危険に対してどのような措置を講じればリスクは低くなるのかを記入します。
危険予知(予定作業に対して、こんな危険がある)
危険予知に関しては「○○するとき、△△になる」のように記載します。「玉掛け作業中にトラックの荷台から転落する」「鉄筋の運搬中に配管につまずき転倒する」など、作業内容とその作業に潜む危険を予測します。また、危険の重篤度と発生の可能性を評価し、3段階の数値で記入します。
重篤度
- 3:極めて重大(死亡・障害)
- 2:重大(休業災害)
- 1:軽微(不休災害)
可能性
- 3:極めて高い(よほど注意力がないと負傷する)
- 2:可能性がある(注意していないと負傷する)
- 1:ほとんどない(注意しなくてもほとんど負傷しない)
さらに、重篤度と可能性の点数を足した数の大きさを評価点として5段階で評価します。
評価点(重篤度+可能性) | 評価内容 | 対策の必要性 | 5段階評価 |
---|---|---|---|
6点 | ただちに解決すべき問題がある | 即座に対策が必要 | 5 |
5点 | 重大な問題がある | 抜本的対策が必要 | 4 |
4点 | かなり問題がある | 何らかの対策が必要 | 3 |
3点 | 多少問題がある | 現時点で対策は不要 | 2 |
2点 | 問題は少ない | 対策の必要なし | 1 |
リスク低減措置
実施したリスクアセスメントで、評価点の見積もりが3以上になった項目があればリスク低減措置が必要です。予想される危険に対して、具体的にどのようなリスク回避措置をとるか記入します。「玉掛け作業中にトラックの荷台から転落する」という危険には「あおりを開いた側に立たない」など、どのような回避措置を講じるのかを記入し、その措置によってどの程度リスクが低減されるのかを再評価します。そして再評価後の重篤度と可能性の数値を記入し、再度5段階評価をおこないます。
例えば、危険回避措置をとることによって重篤度が3から2に下がり、可能性は3から1に下がると予想される場合、リスクアセスメント後の5段階評価は5から2へと低減され、対策の必要なしと判断されることになります。リスクアセスメントの結果が実施されたかどうかを必ず確認し、実施の確認欄にチェックマークを記入します。
職長の確認事項
職長が現場の異変や異常を発見したり、体調不良の作業者を認めたりした場合などはその状況を記入します。また、高齢者や18歳未満の年少者に対する作業の制限事項なども確認の上、記入します。
危険作業に従事する作業者のサイン
安全ミーティングに参加した作業者全員のサインを作業者自身に記入してもらいます。また、各作業者に該当する「実施したリスクアセスメント」に記載した危険予知の番号を○のなかに記入します。
常に危険と隣り合わせの建設現場では、安全ミーティング報告書を活用して作業者自身の安全意識を高めることが大切です。同じ現場で働く全員が意識を合わせて取り組めるよう、安全ミーティング報告書を正しく作成するように心がけましょう。
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