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建設業における安全対策とは

建設業は高所や道路など危険な場所での作業をともないます。また、取り扱いに注意が必要な重機を利用するといった理由から「建設業は労働災害の多い業種」として知られています。令和3年の労働災害の死亡者数は、建設業が全産業トップとなる288人です。労働者が安全に作業できるように、事業者は徹底した安全対策が求められています。この記事では、建設業における安全対策の概要や労働災害の種類、具体的な安全対策を解説します。

この記事はこんな読者におすすめ

  • 元請け事業者の安全確保義務について知りたい
  • 建設業において起こりやすい労働災害の事例を知りたい
  • 安全対策に関する具体的な方法を知りたい
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1. 建設業における元請け事業者の安全確保の義務

労働安全衛生法では「労働者の健康と安全の確保は事業者の責務」として規定しています。元請け事業者は労働安全衛生法を軸に、安全確保を行う義務を有しています。元請け事業者は下請け事業者に対して優位な立場にありますが、下請け事業者の労働者を含むすべての請負人が労働安全衛生法に違反しないよう、連絡や指導を徹底し、設備・機械等の安全確認行いましょう。

建設業は元請け、下請け事業者が混在して建設作業を進行します。そのため、連絡不足や事故に対する認識の違いだけでなく、コミュニケーション不足により事業者間のすれ違いが起き、労働災害に繋がるケースも少なくありません。元請事業者は、労働災害防止計画や安全衛生管理体制を徹底し、労働者が安全・健康に作業できるよう対策を行いましょう。

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2. 建設業における事故の種類

建設業の安全対策を講じる前に、建設業における事故の種類を知っておきましょう。厚生労働省が発表した労働災害統計によると、令和3年の建設業における死亡災害事故の上位は以下の通りです。

  • 墜落 ・ 転落 110 人
  • 崩壊・倒壊 31人
  • はさまれ・巻き込まれ 27人
  • 交通事故(道路) 25人
  • 高温・低温物との接触 11人

建設業で重大な死亡事故が起こる原因として、以下の要因が挙げられます。

  • 高所や道路での作業
  • 建設物の倒壊・崩壊の可能性
  • 重機や建設機械の取り扱い
  • 作業内容が一定していない
  • 単発の受注がほとんど
  • 多様な業種が現場に入るため連携が取りにくい
  • 雇用期間が短く、経験の浅い労働者が混在

高所や道路、崩壊・倒壊の恐れがある現場作業といった環境要因、作業内容が日々変化し単発受注が多いといった業務的要因、異業種間の連携や経験年数のばらつきといった人的要因が労働災害の原因として考えられます。

そのため、作業員の継続的な教育、訓練、マニュアル化などで補うものの、ヒューマンエラーが原因となり労働災害が発生してしまいます。「確認が足りなかった」「マニュアルをよく見ていなかった」といったうっかりミスが、重大な事故を引き起こす一因になるケースもあります。

また、最近は高齢労働者の被災割合も問題となっています。55 歳以上の労働者における労働被災は5,144 人(34.3%)、さらに60歳以上においては3,756 人(25.1%)となっています(※)。高齢労働者は身体能力や判断力の低下、経験の過信などが要因となり、重大な労働災害に繋がる可能性があります。

建設業は無資格でも仕事に就ける業種なので、十分な知識・技術を有していない人材も働いています。経験が浅い労働者に、ハイリスクな仕事を割り振るといった業務分担も事故が発生する原因となります。

※出典:一般社団法人 全国建設業労災互助会「労働災害の現状」より

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3. 具体的な安全対策

労働災害を防ぐには、あらかじめ事故に対する対策を講じておくことが大切です。「小さな規模の作業だから事故は起きないだろう」「法律に基づいて作業しているから大丈夫」といったあいまいな判断をせず、各法律と実際の現場状況からリスクアセスメントを行い、適切な安全対策を実施しましょう。労働災害の具体的な安全対策について解説します。

ヒヤリハット報告書

重大な労働事故が起きないために、ヒヤリハット報告書を作成して危険の認識と再発防止策の検討、情報の共有を行いましょう。ヒューマンエラーに関する「ハインリッヒの法則」では「1件の重大事故の裏には、30件の軽微な事故が起きている」といわれています。
ヒヤリハット報告書の作成、および再発防止に向けての取り組みをよく行っている事業者は、重大事故が起きるリスクを軽減できます。しかし、労働者はヒヤリハット報告書という面倒な書類作業が増え、事故の内容を報告したくない心情から報告書の作成を敬遠する傾向にあります。
現場責任者がヒヤリハット事例を把握しておくとともに、軽微な事故でも報告するよう労働者に対して指導する必要があります。ヒヤリハット報告書は元請事業者も確認し、指導やルールの再確認をすることで再発防止の効果が高まります。

KY活動

労働災害を予防するには、作業の前にどのような危険・事故の可能性が潜んでいるのか予測・検討する過程が有効です。安全に作業できるよう行動項目や計画を設定し、実際の作業前に指さし確認で危険予測・注意喚起することをKY活動(危険予知活動)といいます。
特に新人労働者や高齢労働者は危険予測に乏しい傾向にあるため、責任者やベテラン労働者が率先してKY活動に取り組みましょう。KY活動は全国各地で実践セミナーが開催されています。責任者はKY活動について理解を深め、労働者が適切に危険予知できるよう指導しましょう。

熱中症対策

気温の高い夏場の作業は、熱中症による労働災害が起きやすくなります。熱中症による死亡災害事故も発生しており、熱中症に対する対策を立てておく必要があります。具体的な対策案としては気象情報やWBGT(暑さ指数)のチェック、大型扇風機や遮光ネット・ドライミストの設置などが挙げられます。
最近は小型ファンを内蔵した空調服が普及しており、労働者への貸し出しや購入費補助といった対策も有効です。また、涼しい休憩場所を確保しておくとともに、気象環境に応じて、こまめな休憩時間の確保・作業時間の短縮も検討しましょう。
熱中症の疑いがある場合の応急処置についても理解を深めておく必要があります。重度の熱中症は死亡事故にもつながるため、症状の早期発見や救急車が到着するまでの処置についても周知徹底しておきましょう。

落下事故対策

落下事故は労働災害においても発生件数が多く、命に係わる重大な事故に繋がる可能性があります。高所での作業をともなう現場では、落下事故への対策が必要不可欠です。
屋根・屋上の端や開口部、足場での作業は安全帯や親綱を適切に装着しましょう。2022年1月から胴ベルト型安全帯の使用が一部不可になり、一定の条件下ではフルハーネスの着用・特別教育の受講が義務化されています。
足場の設置が困難な現場では、屋根の形状や勾配などをチェックして事前にリスクアセスメントを行いましょう。作業計画および安全作業手順書を作成し、どの労働者にも理解できるようにわかりやすく説明する必要があります。落下事故は1階の屋根程度の高さでも、死亡事故に至る可能性があります。落下による事故を防ぐために、保護帽や安全靴といった用具装着も徹底しましょう。

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