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適正配置とは

建設工事のさまざまな種類の現場作業に対して、資格の有無や技能レベル、作業の慣れ、年齢や性別など個人の特性を考慮のうえ、対象作業に最も適した作業者を配置することを適正配置といいます。ここでは、適正配置の考え方や進め方、そして配慮すべき作業者の個人特性のポイントについて詳しく解説します。

この記事はこんな読者におすすめ

  • 適正配置とは何かを知りたい
  • 適正配置を考え方や進める際のポイントを知りたい
  • 適正配置において配慮すべき個人特性について知りたい
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1. 適正配置とは

建設工事の現場では、安全に効率よく作業を進めることが求められます。そのためには、作業の内容に対して最も適した作業員を配置する必要があります。作業の量や求められる質に対して、作業者の保有資格、経験や知識、技能や体力に応じて作業者の人選と人数を割り当て、最も適した作業者を配置することを「適正配置」といいます。

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2. 適正配置の考え方

作業者を適正に配置するには、作業特性に応じて作業者を何人割り当てるか検討する一方で、保有する資格や経験値など作業者の特性を活かした配置もおこなう必要があります。

作業特性からとらえた適正配置

建設工事はさまざまな工種、作業で構成されており、現場によって作業の環境も異なります。いつ、どこで、どのような作業をどのような方法で、いつまでに完成させるのかなど、適切な作業者を選択するための作業特性を把握する必要があります。

作業の種類 形態 通常の慣れた作業か、危険・有害な作業か
資格が必要な作業か、重労働作業か
内容 重要な作業か、難しい作業か、高い技術が必要か
使用する資材・機材・設備と状態はどうか
作業条件 作業時間と作業方法、作業の頻度と継続性
作業をする時間帯、判断力や注意力が必要か
他職種との連絡・調整は必要か
標準納期か急ぎの作業か、作業期間は長期か短期か
作業環境 屋内か屋外か、高所作業か、酸欠作業か
気温、騒音、周囲の明るさ(採光・照明)は十分か

作業者の特性からとらえた適正配置

作業者の作業遂行能力は個人によってさまざまです。経験や業務歴はもちろん、年齢・性別、保有資格、作業に関する知識や技能の習得度と作業態度、さらには体力、性格、健康状態、作業につく際の心理状態など、作業者個人の適性を見極める必要があります。

特に重要なのは「知識・技能・態度・体力」の4要素からなる労働能力を把握し、能力に応じた作業に就かせることです。また、作業者本人の希望も考慮し、作業に対するやる気や責任感の向上につなげることも大切です。

作業者の特性
知識(労働能力) 業務や作業に関する知識や考え方
技能(労働能力) 業務経験から得た技能や教育・訓練により習得した技能
態度(労働能力) 他人の意見を素直に受け入れるか、物ごとにまじめに取り組むか
体力(労働能力) 筋力、作業の持続性や俊敏さ
性格 真面目、せっかち、マイペース、早合点など
健康状態 血圧、持病、寝不足、アレルギー、病弱、腰痛など
意欲 前向き、やる気、集中力
年齢、性別 若年者(年少者)、高年齢者、女性
障がいの有無 歩行、視力など

高血圧・低血圧の作業者は「適正配置対象者」として、「適正配置通知」を作成する必要があります。対象となるのは健康診断で高血圧、または低血圧と診断された作業者です。

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3. 適正配置の進め方

適正配置の進め方で重要なポイントはおおよそ以下の通りです。作業の特性と作業者の特性を十分把握したうえで、それぞれの作業に適した作業者を配置していきます。

  1. 作業の期限
  2. 全体の作業量と必要な人数の見極め
  3. 個別の作業量と求められる作業品質
  4. 作業者の技能レベル
  5. 作業者の保有資格と作業に必要な資格
  6. 共同作業の場合は組み合わせ(経験、年齢、体力、体格、性格、性別、相性など)
  7. 作業者の要望
  8. 作業者の体力と健康状態
  9. 作業者の教育・育成につながる作業かどうか
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4. 個人特性ごとの適正配置のポイント

作業者の特性は個人の持つさまざまな要素で構成されますが、なかでも年齢と性別は重要なポイントです。建設業は高年齢就労者の割合が高く、労働災害による死亡者の割合は60歳以上が全体の3割以上を占めています。一方、死傷者は30歳未満の若年世代に多く発生しています。数は少ないものの女性作業者も含めて、こうした個人特性を踏まえて適正配置をすることが重要なポイントとなります。

高年齢作業者の適正配置

建設業では高年齢の作業者が多く、貴重な労働力として活用しなければなりません。一方で年齢が高くなると体力や判断力、俊敏性などが衰え、労働災害に遭う危険度が高まります。
令和2年には高年齢労働者の労働災害を防止する目的で「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(通称:エイジフレンドリーガイドライン)」が厚生労働省から公表されており、「危険な作業に就かせない」などの高年齢労働者への配慮が求められています。

若年作業者の適正配置

若年作業者は一般的に経験年数が短く、技能や知識、対応力などが未熟です。そのため、労働災害における29歳以下の死傷者は他の世代に比べて非常に高い割合となっています。経験の浅い若年作業者に対しては特に注意を払い、監督指導をこまめにおこなうなどの気配りが必要です。
また、作業の事前説明も入念におこない、理解度を確認し、能力に応じた作業を割り振ります。共同作業の場合は熟練作業者と組ませるなど、事故を未然に防ぐための配慮が適正配置につながります。

女性の適正配置

建設業における女性作業者の割合は極めて低く、全体の2パーセント程度とされています。女性が少ない理由には体力の問題もありますが、トイレや更衣室など設備面で女性の受け入れ態勢が整っていないことがあげられます。こうした現状に対して女性建設技能者から職場環境の整備を求める声があがっており、現場でも女性という前提に立った適正配置が求められます。

女性を適正配置する際のポイント

  • 女性の体力に配慮された作業か
  • 女性特有の体調変化に対応しているか
  • トイレや更衣室、待合所などの配慮がされているか
  • ハラスメント防止策はとられているか など
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