決算変更届とは

建設業許可を取得すると、さまざまな工事を受注することができ、仕事の幅が広がります。しかし、受注する仕事が増えるにつれて、やらなくてはならない業務が生じるのも事実です。その中の一つに「決算変更届」の提出があります。ここでは決算変更届について、概要や提出期限、必要となる書類などについて解説していきます。

1.決算変更届とは

決算変更届とは、建設業許可を取得している事業所が、監督官庁に提出をしなければならない書類の一つです。1年間の工事実績と決算内容をまとめている報告書のようなもので、決算終了後に提出が義務付けられています。「変更届」という名称であるため、何か変更があった場合のみ必要かと思われがちですが、変更の有無に関わらず決算後に必ず提出をしなければなりません。
各都道府県によって「年次報告」や「事業年度終了報告」など名称が異なることもありますが、いずれも建設業法に基づいた同様の書類になります。

2. 決算変更届の提出期限

決算変更届の提出期限は、事業年度終了後4ヶ月以内とされています。
通常は3月末決算の事業所が多いかと思いますが、その場合は7月末が提出期限となります。個人事業主の場合は、12月末日に事業年度が終了となるので4月末日が提出期限です。

3. 決算変更届に必要な書類

決算変更届に必要となる書類を挙げていきます。

変更届出書

前述した決算変更届で、地域によっては「年次報告」や「事業年度終了報告」などとも呼ばれる書類で、決算変更届において最も基本になる書類です。

工事経歴書

1年間の工事実績に関する情報が記載された書類です。年度内に完了となった工事や、請け負った未完成の工事を記載します。記載する工事の件数については、各都道府県によって定められています。

直前3年の各事業年度における工事施工金額

許可を申請する建設業者の直近3年の各事業年度における完成工事の施工金額を記載する書類です。建設業許可の種類ごとに、元請工事と下請工事を分けた上、合計の金額を記載します。
また元請工事は、「公共工事」と「民間工事」を分ける必要があります。

財務諸表

財務諸表では貸借対照表、損益計算書・完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表、付属明細表が必要となります。

事業報告書

事業報告書は株式会社のみが必要となります。会社の概況や直近の事業年度における変化、財務状況などを記載します。

納税証明書

事業者が納税義務を果たしていることを証明するための書類です。納税に不備がある場合、決算変更届が受理されないこともあります。

以下は変更があった場合に提出が必要な書類になります。

使用人数

事業所ごとに、建設業に関わる人数や事務を行う人の人数を記載します。新規採用者や退職者によって人数が変更になった場合に提出が必要です。

建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表

建設業法施行令第3条に規定する使用人とは、従たる営業所に配置された一定の権限を持つ使用人のことをいいます。該当する人に変更があった場合に必要になる書類です。

定款

定款に変更があった場合に提出します。

4. 決算変更届未提出の場合の罰則

決算変更届が提出されない場合は、建設業法違反となり、「懲役6ヶ月又は100万円以下の罰金」が科せられてしまいます。それだけ決済変更届は重要な手続きであるということを念頭に置いておきましょう。

また、決算変更届未提出の場合には以下のようなデメリットも生じます。

建設業許可の更新手続きができなくなる

建設業許可の有効期限は5年間とされており、満了する30日前までに更新の申請をしなければなりません。しかし、決算変更届が提出されていないと建設業許可の更新を受け付けてもらえないため、更新手続きができなくなってしまいます。

建設業許可の業種追加申請の受付ができない

決算変更届を提出していなければ、業種追加申請の受付ができなくなります。業種追加とは建設業許可を受けている者が違う業種の許可を取得することをいいますが、決算変更届が提出されていなければ申請ができません。

取引先からの信頼を失う

決算変更届を提出しないと、自社の業務実績の証明を他社に示すことができません。管理を怠っている業者というイメージを持たれてしまい、取引先からの信頼を失ってしまうことにも繋がります。