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特別教育・技能講習・免許とは

危険または有害な作業に従事する可能性がある現場では、特別教育、技能講習、免許という言葉がよく聞かれます。こうした現場では、労働災害や健康被害を防止するために、事業者は労働者に対して安全教育を実施することが義務付けられています。また、特に危険または有害な作業の従事者や、労働者の指揮管理をおこなう責任者には、専門的な知識と技能を習得していることが求められます。労働災害や健康被害を防ぐために必要な特別教育や、技能講習、免許について、その違いを詳しく解説します。

この記事はこんな読者におすすめ

  • 特別教育、技能講習、免許の違いを知りたい
  • 特別教育には、どのような種類があるのか知りたい
  • 技能講習には、どのような種類があるのか知りたい
  • 免許には、どのような種類があるのか知りたい
労務安全書類はペーパレス化できる?グリーンファイルを電子化したほうが良い理由を解説!

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労務安全書類はペーパレス化できる?グリーンファイルを電子化したほうが良い理由を解説!

現場DXがますます進む建設業界。ペーパーレス化に取り組む企業が増加している昨今、労務安全書類の作成にかかる業務をより効率化し、省人化や省力化を図る建...

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1.特別教育・技能講習・免許の関係性

労働安全衛生法第59条・第61条では、従事する労働者にとって危険または有害な可能性のある作業を定め、その作業に従事するために必要な要件として、特別教育の受講、技能講習の修了、免許の取得を義務付けています。この3つの要件には、作業の危険度によって、下から「特別教育」、「技能講習」、「免許」という関係性があります。
例えばボイラーの取扱業務の場合、危険度が低い小型ボイラーは特別教育を受ければ従事できますが、小規模ボイラーには技能講習、危険度が高くなるこれ以上の規模のボイラーには、ボイラー技士免許がなければ従事することができません。

同種の業務については、上位の免許を持っていれば、下位の技能講習や特別教育は免除され、作業ができます。一方、技能講習を修了していても、下位の特別教育は免除されるものの、上位の免許が必要な作業は実施することができないということです。

特に危険度が高く就業制限のある業務や、労働者の指揮管理のために選任される作業主任者には、技能講習修了や免許が必要です。

  特別教育 技能講習 免許
三者の関係性 下位 中位 上位
取得または
修了方法
特別教育の受講 技能講習を受講し修了証交付 免許試験に合格し免許証交付
実施機関 事業者または
外部機関(登録なし)が実施
都道府県労働局の登録機関で受講 指定試験機関で受験
(財団法人安全衛生技術試験協会)

業務数 特別教育の実施が必要な業務:49業務 作業主任者に必要な技能講習:26作業
就業制限業務に必要な技能講習:12作業
作業主任者に必要な免許:9業務
就業制限業務に必要な免許:8業務
衛生管理者に必要な免許:3業務

次に、特別教育、技能講習、免許について詳しく説明していきましょう。

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2. 特別教育とは

特別教育とは、事業者が労働者を特定の危険または有害な業務に従事させる時に、労働者に対しておこなわなければならない専門的な教育のことです。特別教育は、労働安全衛生法第59条3項により、労働者の労働災害や健康被害を防止するために、事業者に対して義務付けられているものです。

特別教育は、事業者が社内で実施しますが、外部機関を利用する方法もあります。特別教育の記録は3年間保存する必要がありますが、有効期間はありません。事業者は、労働者が危険有害業務に初めて従事する時に特別教育を実施します。特別教育終了後5年を目安に定期的に実施したり、設備が新しくなった時に実施したりするなど、労働災害の動向や社会情勢の変化に対応して実施することが望ましいとされています。

特別教育が必要な業務

特別教育が必要な業務は、労働安全衛生規則第36条で規定された49の業務です。

特別教育が必要な業務一覧(概略)

1 研削砥石の取り換え等 26 建設用リフトの運転
2 動力プレスの金型等取り付けなど 27 玉掛けの業務
3 アーク溶接等の業務 28 ゴンドラの操作
4 電気取扱業務 29 作業室および気閘室への空気圧縮機の運転
5 フォークリフトの運転 30 高圧室内作業に係る作業室への送気調節業務
6 ショベルローダー等の運転 31 気閘室への送気排気調節操作業務
7 不整地運搬車の運転 32 潜水作業者への送気調節業務
8 揚貨装置の運転 33 再圧室の操作業務
9 機械集材装置の運転 34 高圧室内作業の業務
10 伐木等の業務(70㎝以上の立ち木など) 35 四アルキル鉛等の業務
11 伐木等の業務(70㎝未満の立ち木など) 36 酸素欠乏危険作業の業務
12 小型車両系建設機械の運転 37 特殊化学設備の取扱い等の業務
13 基礎工事用建設機械の運転 38 エックス線装置又はガンマ線照射装置の用いる撮影業務
14 車両系建設機械の作業装置の操作 39 加工施設、再処理施設等内の燃料物質もしくは使用済燃料の取扱業務
15 ローラーの運転 40 原子炉施設の管理区域内における燃料物質若しくは使用済燃料等取り扱い業務
16 車両系建設機械(コンクリート打設用)の作業装置の操作 41 粉じん作業
17 ボーリングマシンの運転 42 ずい道等の掘削等の業務
18 ジャッキ式つり上げ機械の調整又は運転 43 産業用ロボットの教示等の業務
19 高所作業車の運転 44 産業用ロボットの検査等の業務
20 巻き上げ機の運転 45 自動車用タイヤの組み立てに係るタイヤの空気の充填業務
21 軌道装置の動力車の運転 46 廃棄物の焼却施設に関する業務(燃え殻の取扱い等)
22 小型ボイラー取扱業務 47 廃棄物の焼却施設に関する業務(設備の保守点検等)
23 クレーンの運転 48 石綿等が使用されている建築物等の解体等の作業
24 移動式クレーンの運転 49 東日本大震災により生じた放射性物質による汚染土壌等の除染業務
25 デリックの運転    
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3. 技能講習とは

技能講習には、労働者の指揮管理をおこなう作業主任者の資格を取得するための作業主任者技能講習と、就業制限業務に従事するために必要な技能講習があります。いずれも労働安全衛生法によって、該当する業務に関する技能講習の修了が、義務付けられています。技能講習を受けるには、受講に必要な業務経験などの条件があり、登録機関で受講すると、技能講習の種類ごとに修了証が交付されます。

技能講習の種類

作業主任者に必要な技能講習

事業者は、労働災害を防止するための管理が必要と定められている作業に対し、作業の区分に応じて作業主任者を選任することが、労働安全衛生法第14条で定められています。ここでは、作業主任者に選任されるために必要な26種類ある技能講習についてご紹介します。

1 木材加工用機械作業主任者技能講習
2 プレス機械作業主任者技能講習
3 乾燥設備作業主任者技能講習
4 コンクリート破砕器作業主任者技能講習
5 地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習
6 ずい道等の掘削等作業主任者技能講習
7 ずい道等の覆工作業主任者技能講習
8 型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習
9 足場の組立て等作業主任者技能講習
10 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習
11 鋼橋架設等作業主任者技能講習
12 コンクリート造の工作物の解体等作業主任者技能講習
13 コンクリート橋架設等作業主任者技能講習
14 採石のための掘削作業主任者技能講習
15 はい作業主任者技能講習
16 船内荷役作業主任者技能講習
17 木造建築物の組立て等作業主任者技能講習
18 化学設備関係第一種圧力容器取扱作業主任者技能講習
19 普通第一種圧力容器取扱作業主任者技能講習
20 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習
21 鉛作業主任者技能講習
22 有機溶剤作業主任者技能講習
23 石綿作業主任者技能講習
24 酸素欠乏危険作業主任者技能講習
25 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習
26 ボイラー取扱作業主任者技能講習

就業制限業務に従事するための技能講習

労働安全衛生法第61条により、事業者は特定の危険または有害な業務について、該当する技能講習を修了した者でなければ従事させることができないことが定められています。つまり、就業制限業務に従事するためには、以下の就業制限業務に必要な12種類の技能講習の修了が必要です。

1 床上操作式クレーン運転技能講習
2 小型移動式クレーン運転技能講習
3 ガス溶接技能講習
4 フォークリフト運転技能講習
5 ショベルローダー等運転技能講習
6 車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習
7 車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習
8 車両系建設機械(解体用)運転技能講習
9 不整地運搬車運転技能講習
10 高所作業車運転技能講習
11 玉掛け技能講習
12 ボイラー取扱技能講習
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4. 免許とは

免許とは、作業主任者や就業制限業務のうち、特に危険または有害な業務に従事する場合に、必要とされる国家資格です。また、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに選任が義務付けられている衛生管理者にも免許が必要です。
免許を取得するには、免許の種類ごとに定められた、実務経験や学校教育法における教育、技能講習修了などの受験資格を満たし、労働安全衛生技術試験協会主催の国家試験に合格する必要があります。合格後に免許の申請をすることで、免許証が交付されます。
労働安全衛生法によって規定されている免許の種類を紹介します。

免許の種類

危険または有害な業務において選任される9種類の作業主任者および、8種類の就業制限業務に必要な免許、すべての業種において一定の規模の事業場に選任される3種類の衛生管理者に必要な免許は以下の通りです。

作業主任者免許

1 高圧室内作業主任者免許
2 ガス溶接作業主任者免許
3 林業架線作業主任者免許
4 ボイラー取扱作業主任者(特級ボイラー技士免許)
5 ボイラー取扱作業主任者(一級ボイラー技士免許)
6 ボイラー取扱作業主任者(二級ボイラー技士免許)
7 エックス線作業主任者免許
8 ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許
9 特定第一種圧力容器取扱作業主任者免許

就業制限業務に必要な免許

1 発破技士免許
2 揚貨装置運転士免許
3 特別ボイラー溶接士免許
4 普通ボイラー溶接士免許
5 ボイラー整備士免許
6 クレーン・デリック運転士免許(限定無し、クレーン限定、床上運転式クレーン限定)
7 移動式クレーン運転士免許
8 潜水士免許

衛生管理者に必要な免許

1 第一種衛生管理者
2 第二種衛生管理者
3 衛生工学衛生管理者
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