建設業界では、技能者の能力や経験が客観的にわかりにくく、適切な評価がされないことが一つの課題とされてきました。そのため能力や経験があっても賃金に反映されにくく、業界全体の慢性的な人手不足が大きな問題となっています。そこで注目されているのが技能者の能力や経験を「見える化」するCCUSの活用です。CCUSとは具体的にどのようなシステムなのでしょうか。ここではCCUSについて概要と登録や申請の方法について解説していきます。
この記事はこんな読者におすすめ
- CCUSとは何かを知りたい
- CCUSの技能者登録方法について知りたい
- CCUSの技能者登録で必要になる書類について知りたい
セミナー情報
建設キャリアアップのイマがわかる!CCUSの全貌解説セミナー
2023年度から公共工事において原則化された建設キャリアアップシステム、通称CCUS。 本セミナーではCCUSの概要や登録状況をはじめ、技能者や事業者にとってど...
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1. CCUSとは
CCUSとは、国土交通省が推進する「建設キャリアアップシステム」のことです。建設業に携わる技能者の就業履歴や保有資格、社会保険加入状況などを登録・蓄積し、一人ひとりを適正に評価することや、現場の効率化に役立てるシステムとなっています。CCUSは、2019年4月から一般社団法人建設業振興基金が主体となり運用が開始されました。
CCUSの運用が始まった背景には、日本の建設業界における人手不足を解消する目的があります。建設業界の年齢別賃金は40歳前後でピークを迎える傾向にあり、能力や経験に裏付けされたベテラン技能者の評価が適切になされていないことが指摘されてきました。このような課題を克服するためにも、技能者の能力を「見える化」し、技術や経験に見合った給与を与えることで若手の建築業離れを解消するのがCCUSの狙いなのです。
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2. CCUSの技能者登録
CCUSでは、一人ひとりの技能者が本人であることを確認した上で、システムに登録手続きをおこなわなければなりません。CCUSの技能者登録の主な方法について見ていきましょう。
CCUS技能者登録方法
CCUSの技能者登録方法は、インターネット申請と認定登録機関申請の2つに分けられます。それぞれどのような方法なのか解説していきます。
インターネット申請
インターネット申請は「建設キャリアアップシステム」のホームページから申請をします。ホームページにある手順に従って、登録申請、利用料金の支払いをおこなうことで登録が可能です。
インターネット申請では「簡略型登録」と「詳細型登録」を選択できます。
簡略型登録は、名前や住所、所属事業者情報、社会保険情報を登録する簡易的なもので、登録料が2,500円(税込)かかります。
詳細型登録は、簡略型登録の情報に加え、技能者のレベルを判定するのに必要な保有資格や健康診断の受診履歴などを登録するもので、登録料が4,900円(税込)かかります。はじめは簡略型登録のみを登録して、本人のタイミングで詳細型登録に移行することも可能です。
認定登録機関申請
認定登録機関申請は、指定された窓口にて、指定された書類の受け取りや本人確認をしながら直接申請をする方法で「詳細型登録」しかできません。また写真付きの本人確認証がない場合も、認定登録機関申請のみでしか登録ができません。手書きで登録申請用紙に必要事項を記入し、登録料を4,900円(税込)支払い、申請書を提出することで手続きが完了となります。
CCUSの技能者登録に必要な書類
CCUSの技能者登録申請に必要な書類について解説していきます。必要な書類は大きく分けて、「本人確認書類」「顔写真」「社会保険等の加入証明書類」「その他の証明書類」「同意書(代行申請の場合)」の5種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
本人確認書類
本人確認書類は、
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート+住民票
いずれかの写しが必要となります。
外国籍の場合は在留カード、特別永住者証明書、パスポート+住民票のいずれかの写しが必要となります。上記の書類が準備できない場合はインターネット申請が不可能で、認定登録機関申請のみとなります。その場合、住民票+健康保険被保険者証が必要です。
顔写真
顔写真は6ヵ月以内に撮影したもので、正面を向き、無帽、無背景であることが条件となります。色付きの眼鏡や帽子をかぶった写真は採用されません。インターネット申請の場合は、画像サイズ294×378ピクセルのjpegファイルを添付します。また、認定登録機関申請の場合は、パスポートサイズ(縦45×横35mm)の写真を用意します。ここで提出する顔写真は登録後に発行されるキャリアアップカードに使用されます。
社会保険等の加入証明書
社会保険に加入している場合、それぞれ確認書類が必要となります。主な書類は以下の通りです。
- 健康保険被保険者証
- 健康保険(厚生年金保険)被保険者標準報酬月額決定通知書
- 厚生年金等加入証明書
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書
- 建設業退職金共済手帳
- 中小企業退職金共済手帳
- 労災保険特別加入証
- 労災保険特別加入証明書
- 労災保険特別加入申請書
加入している保険によって必要な書類が異なるので確認して準備をしましょう。
その他の証明書類
所有している建築業に関する資格などの証明書類が必要となります。主な書類は以下の通りです。
- 登録基幹技能者講習修了証
- 保有資格証明書類
- 研修受講証明書類
- 表彰証明書類
- 主任技能者になるために必要な学歴を証明する書類
同意書(代行申請する場合)
事業者が代行で技能者登録をする場合には同意書が必要となります。同意書は指定された書類があり、建設キャリアアップシステムホームページにてダウンロードが可能です。
CCUSの技能者登録申請の参考情報
CCUSの技能者登録申請をすることによって、以下の情報が登録されます。
- 氏名や年齢などの基本情報
- 加入している社会保険
- 所属事業所
- 技能者の職種
- CCUS登録前の実績と会社の証明
- 所有している資格
- 技能講習の受講履歴
- 研修の受講履歴
- 表彰
- 現場経験と立場
これらの情報を客観的に証明できるため、技能者の経験や技能が第三者にもわかりやすくなるのです。
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3. CCUSのカード
申請手続きを済ませた後、登録手続きが完了したことを証明するカードが発行されます。カードの有効期間は発行日から発行9年経過後の最初に迎える誕生日までです。申請時に60歳以上の方は、有効期限が同14年目の誕生日まで、本人確認書類未提出者は同2年目の誕生日までが有効期限となります。カードが手元に届くまでの期間は、申請時に不備がないとしても、最短で1ヵ月はかかります。それを見越して準備を進めましょう。
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